茨城県信用保証協会

元気企業

バックナンバー

株式会社 ティー・エム・ピー

独創的なアイデアであらたな技術と付加価値を創造する

 株式会社ティー・エム・ピー
  http://www.tmp-jp.com/

   代表取締役 高橋 一雄

 事 業 内 容 / 産業用ロボット製造     
 店  舗/茨城県日立市大和田町645 
 創  業/昭和56年
   (法人設立:昭和57年4月)

  

 クイズです!4月7日と9月3日はそれぞれ誰の誕生日でしょう?
 これが分かった人はよほどのまんがオタクか、かなりのロボット好きと言えるでしょう。
(*答えはこのページの一番最後を見て下さい。)

 さて、みなさんは、「ロボット」と聞いてまず何を思い浮かべるでしょうか。最近では、ソニーが開発した"アイボ"や、ホンダが開発した"アシモ"ばかりが注目を集めていますが、下の図ように「ロボット」とひとくちに言っても、その種類は実に様々です。
 一般の方には、“アイボ”などの非産業用ロボット(パーソナルロボット)が馴染み深いと思いますが、人間に代わって作業をこなしてくれる産業用ロボットは、いまや工場など産業の現場にとって無くてはならない存在となっています。
 今回は、この産業用ロボットの開発から製造まで手掛けている元気な企業、株式会社ティー・エム・ピーをご紹介いたします。

 

 

  同社は、パーツフィーダー(自動部品供給装置)やFA(自動組立装置、選別装置、検査装置等)を主力とした産業用ロボット及びその周辺機器を製作。大手企業を中心に自動車や食品関連など幅広い分野から安定した受注を確保しており、平成20年3月期の売上は6億5千万円を見込んでいます。さらに、今期は増産に対応するため、新工場の建設も計画中であり、景気の不透明感が強まるなかにおいても、攻めの姿勢を崩していません。
 では、この「攻め」の経営の背景にはどのような裏付けがあるのでしょうか。日立市大和田町にある本社工場に、同社の代表取締役高橋一雄社長を訪ねました。

 

独創的な発想に支えられた高い技術力

 

 高橋社長が"ものづくり"の世界に飛び込もうと考えたのは、中学生のときに、あの発明王エジソンの伝記を読んだことがきっかけだったといいます。"ものづくり"に憧れた高橋少年は、工業高校に進学し、そこで2人乗りのモーターボートを製作し、実際に川に浮かべ試運転まで行いました。「プロペラが小さかったため流れに負けてしまった」そうですが、その時の感動が原体験となり、現在まで"ものづくり"の世界に魅了され続けているようです。

 

 

 「可能な限り外注はしない」という社長のお言葉通り、同社の事業 形態で最も特筆すべき点は、企画から機械・電気の設計そして納入・メンテナンスに至るまで、ほぼすべての工程を自社で行っていることではないでしょうか。そのため、工場内には、様々な金属加工機械が並んでおり、それらの加工機械も自社で使いやすいようにカスタマイズされています。

 そして、部品供給装置など同社がつくり出す製品は、小型・軽量・低価格を特徴とし、その特徴を支えているのは、独創的な発想に裏打ちされた高い技術力にあると言えます。

オリジナルパーツフィーダー

リラックスできる環境が柔軟な発想と豊かなアイデアを育む

 

 では、その独創性はどこから生まれるのでしょうか。
 同社を訪れた人は、まず初めに、工場という場所らしくない軽快な音楽が流れているのに気付くことでしょう。これには、以下のような社長の考えがあるようです。

 「この有線放送は、毎日社員たちが好きなジャンルの音楽を自由に決めて流してるんです。弊社では、自宅にいる時と同じぐらいリラックスした気持ちで仕事に臨めるような会社を理想としています。」

 高橋社長は、このように話し、同社のような開発型の事業を行っている会社では、何よりも社員が柔軟な発想ができる環境を整えることこそが重要であると言います。そして、BGMはこのような考えを実現するためのひとつの手段だったのです。

 

 また、業務においては、社員に厳しいノルマを課したり、工程を細かく管理したりということはしていないそうです。

 「弊社では、社長や上司がああしろ、こうしろと締め付けるようなことはしていません。効率ばかりを考えて工程を管理してしまうと、必ずどこかでひずみが出てくるものです。社員たちが"やらなきゃならない"と考えるのと、自主的に"やりたい"と考えて動くのとでは、どちらが良い仕事ができるかは明白でしょう。常にどうしたら社員のモチベーションを上げることができるかを考えています。」

 

 

プラスアルファのサービスと“決して諦めない”という気持ち

 


 高橋社長に営業手法について聞いてみると、意外な答えが返ってきました。

「当社では訪問などの積極的な営業活動は一切行っておりません。ありがたいことに、ここ数年は、当社のこれまでの実績を評価していただいており、それが自然に次の受注に結び付いていることが多いようです。」


 

 しかし、この背景には次のような理由があるようです。

 

 

「仕事を頂いた際には、単にお客様が希望している通りの製品を開発するのではなく、常に、『こんな工夫をしてみたんですが、どうでしょうか』とか、『ここはこんなシステムにするともっと使い勝手がいいですよ』といった、プラスアルファの付加価値をつけて開発を行うようにしています。相手が感動し、喜ぶような"何か"が、次の受注につながっているんだと思います。」

 こうした、常にユーザーサイドに立った柔軟な企画力と、それを実現する高い技術力が当社を支えていると言えそうです。
なお、同社では、「NEVER GIVE UP(決して諦めない)」、「NEVER SAY NEVER(出来ないとは絶対言うな)」ということを技術開発理念として掲げています。
「弊社の仕事には、他社では不可能であったからこそ、持ちかけられたものが多いのです。ですから、困難なことは当たり前で、最初から『できない』と言っていたのでは、私どもの仕事は成り立たないのです。」

 

おわりに・・・

 最後に高橋社長は次のようなお話をしてくださいました。

「究極の自動化装置とは何だかわかりますか?それは自然界です。自然は人の手を借りずに、毎年季節に応じた変化を繰り返しています。それと比較すれば、われわれ人間の自動化・無人化の技術なんてまだまだです。そう考えれば、弊社ができる仕事は無限にあると言えるんです。」

 

 今回の取材では、独創的な発想と高度な技術力を持つ同社に、日本の中小企業の潜在能力の高さを垣間見た気がしました。こうしている今も、取引先を「あっ!」と言わせる新たな"何か"をつくり続けていることでしょう。
 冒頭にもご紹介したとおり、同社は現在の工場の隣に取得した、約3,000坪の土地上に新工場を建設し、新たなステージへと飛躍しようとしています。今後、その新工場からはどんな製品が生み出されるのでしょうか。われわれも楽しみにしたいと思います。同社の更なる成長をご期待申し上げます。 


 

   ●クイズの答え…4月7日は鉄腕アトム、9月3日はドラえもんの誕生日

▲Top