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株式会社 エイプラス・デザイン

水戸および茨城の未来を創る設計事務所

 

 

 

 

 茨城県民の皆さん、10月16日に公開された映画『桜田門外の変』はもうご覧になりましたでしょうか?え、まだ観ていない?そりゃ県民としてはちょっと問題ですな・・・。

 

 

 ご存知の方も多いと思いますが、映画『桜田門外の変』は、「地元主導で茨城県の観光誘致に繋がる映画を作れないか」という願いのもとに企画されたものです。映画化にあたっては、茨城県や水戸市をはじめとする市町村がバックアップし発足した『桜田門外の変』映画化支援の会が製作の原動力となりました。
 ロケは県内各地で行われ、特に話題を集めたのが、千波湖畔に出現した桜田門外周辺を再現した巨大なオープンロケセットです。総工費はなんと2億5千万円!一度ご覧になればロケセットとは思えない本格的な造りに驚くことでしょう。

 

 「支援の会」には、県内の多くの企業が様々なかたちで参加しているのですが、今回は、このロケセットを設計した企業、株式会社エイプラス・デザインをご紹介します。同社の佐藤昌樹社長は、生まれ育った水戸市、そして茨城県に対する思いはだれにも負けない、いわば"水戸大好き情熱系建築設計士"です。本業の建築の世界にとどまらず、ご紹介した映画化の支援運動以外にも、さまざまなかたちで地元の街づくりに関わってきました。

 

寝食を忘れ建築に没頭

 

 

 水戸市出身の佐藤社長は、大学の建築学科をご卒業後、都内にある設計事務所、株式会社環境デザイン研究所に勤務しました。㈱環境デザイン研究所は、調査、測量、基本構想、基本計画、基本設計、実施設計、設計監理まで、一貫して行うデザイン事務所であり、全国からスポーツ施設や科学館・博物館、幼稚園・学校など大型の施設のデザインを手がけている業界ではたいへん有名な企業です。

 

「環境デザイン研究所では、全国各地の施設の様々な仕事に関わる機会に恵まれ、とても貴重な経験を積むことができました。まさに寝食を忘れ、無我夢中で働いていましたが、つらいとはまったく思いませんでした。」

 

 

 建築設計士は、数年間企業に勤務したあと、独立し自分の設計事務所を立ち上げる方が多く、佐藤社長も約10年間勤務後、独立の道を歩みます。平成7年、法人を設立し、都内に事務所を開きました。決まった受注ルートなどありませんでしたが、規模の大小を問わず、すべての仕事に全力で取り組む日々が続いたそうです。

 

建築を通して郷里水戸の街を元気にしたい

 

 郷里に対する強い思いを抱き、水戸に事務所を設けることとなったのは、友人の歯科医師から店舗の設計を依頼されたことがきっかけだったそうです。その店舗の建築場所は、水戸駅から伸びる大通りから一本裏に入った狭い路地に面した土地で、周辺はビルの裏口などが並ぶ雑然とした空間でした。「女性に好まれる建物にしてほしい」という建築主からの要望を受けて佐藤社長がデザインしたのがイタリアンレストランのような外観の店舗でした。

 

 

 

 佐藤社長は周囲のさびれた雰囲気と対比させて、「"掃き溜めに鶴"のような歯医者(笑)」と表現していましたが、たしかにそのおしゃれな外観は通りかかる人の目を引きます。

 建築主にも喜ばれ、ご自分でも満足いく仕事ではあったそうですが、竣工当時は、「郷里での仕事だから」といった特別な思いはなかったそうです。

 

 

 

 ところが、数年後、その場所を訪れたとき、佐藤社長はあることに気付きました。"掃き溜め"だったはずの店舗周辺にいつの間にかおしゃれなお店がいくつか点在しており、一羽だけだったはずの"鶴"が増えているのです。「もしかして自分がデザインした建物がこの周辺の雰囲気に変化を与え、新たなお店の呼び水となったのでは・・・。」そんなふうに感じた佐藤社長は、建築設計という自分の持つ技術を生かして、愛する郷里の街を変えることができるかもしれない、と考えるようになったそうです。

 

 

ビジネスを超えて地域の活性化にも積極的に参加

 

 

 その後、平成12年、佐藤社長は水戸市に事務所を開設して以来、この地を中心に精力的な活動を行ってきました。平成21年には、一般社団法人建築トラブル相談センターを立ち上げ、近年問題となっている欠陥住宅や建築紛争に関する相談にも応じています。

 

 これまでに「茨城建築文化賞・優秀賞」をはじめ数々の受賞歴を持ち、デザイン力の高さには定評がある同社ですが、その作品の多くは水戸市に集中しています。同社があくまで水戸市を中心として活動をしているのには、佐藤社長の故郷に対する特別な思い以外にも、建築に対する次のような考えがあるようです。

 

 

「本来、建築とは、それが建つ地域の気候や風土、歴史、文化などの上に成り立つべきであり、建築家はそうしたものを十分に把握したうえで新たな建築を生みだすべきだと考えています。この点、生まれ育った水戸市であれば、そうした地域の特性に即した設計を行うことができます。」

 

 

 たしかに、都内に事務所を設け、全国各地から仕事を請け負っていたのでは、地域の特性を知らずに設計を行うことになります。また、それぞれの作品は独立して存在しており、何らかの関連性を持つことは考えられません。

 

 また、建築物は建てられた後、少なくとも数十年はその街の構成要素として同じ場所に存在し続けることになるため、建築家は街の景観に対して大きな責任を担っていると言うことができます。一方でこのことは、ある特定の地域に集中して作品を残すことができれば、一人の建築家が地域の景観を一定の方向に導くことも可能である、ということも意味してます。

 

「現在、弊社では、小さなものから水戸駅南口の『サウスタワービル』のようなかなり大きなものまで年間40~50ほどの建築に関わっていますが、その多くは水戸市に存在しています。これが仮に30年続けば、この地域に1,200もの作品が存在することになるのです。 "街づくり"なんていうと行政がやることと思われがちですが、そうではなく、そこに住んでいる私たち一人ひとりの活動によって創られていくものなのです。」

 

 こうした考えのもと、老舗百貨店の移転跡地の利用方法について自治体の首長に提案するなど、広く街づくりに関与する活動を積極的に行っています。冒頭にご紹介した映画化支援の会への参加、ロケセットの設計などもそうした活動の一環といえます。
 また、個人の住宅の設計に関しては、ただ単純に顧客の言うことを図面化するのではなく、共有財産としての街の景観を創るという観点から、地域の歴史や風土を踏まえたアドバイスを行っているそうです。


 

 

「幅広い知識や経験の中から、お客様が漠然とイメージしているものを具現化してみせる、時としてお客様の期待以上のものを提案して見せてこそ、プロと呼べるのだと思います。」

 

 このように述べ、顧客が期待していたものを提供するCS(customer satisfaction:顧客満足)を高めるのではなく、顧客が漠然とイメージしていたけど、具体化できずにいたものを提示し、期待していた以上のものを提供し、喜んでもらう、いわばCD(customer delight:顧客歓喜)を目指すべきだと話していました。

 

 

おわりに・・・



 

 同社は、数年後に水戸および茨城県で一番の設計会社になることを目標としているそうです。「建築家としての理想と、ビジネスとしての収益性を両立させることは難しいのでは?」との問いに対して佐藤社長は次のように答えています。

 

「社内的には、それを一つのスローガンとして掲げていますが、実は一番になることは、本当の目的ではありません。社員一人一人が、真摯にお客様と建築に向き合うことができてこそ、会社は成長を続け、収益を上げることができます。それを実現し続けると、必然的に一番になるのです。」

 

 

 

 

 一人ひとりの"街づくり"への活動は地味で小さなものかも知れませんが、茨城県には佐藤社長のように地域の将来について真剣に考えている方がまだまだたくさんいます。その人々がひとつにまとまれば、『桜田門外の変』映画化支援の会のように大きなプロジェクトを成し遂げることも不可能ではないのです。


 よく観察してみれば、あなたの周りにもいつの間にか佐藤社長の"鶴"が舞い降りているかもしれません。株式会社エイプラスデザインのますますの発展をお祈り申し上げます!

 

※最後になりましたが、映画『桜田門外の変』、必ず観に行きましょうね!!

 

 

 

 

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