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株式会社日港製作所

金型設計製造からプレス加工まで幅広く行う、型内タップのリーディングカンパニー

 

    

 

 

 

 今回は、日立市留町の日立南工業団地内に本社工場を置く株式会社日港製作所を訪問し、沢畠弘人社長にお話を伺いました。
 同社は、先代の故沢畠勝彦社長が一代で築き上げ、現在、息子の沢畠弘人社長がその志を継いで、従来の切削プレス加工に加え、金型設計製作から特殊なプレス加工(型内タップ加工、絞りプレス加工、端子加工)を行っています。 

 

  ※金型:工業製品の金属製や樹脂製の部品をプレス加工のような材料に大
      きな力を加えて変形させることにより、目的とする形状に加工す 

      ることや軟化する温度に加熱したプラスチックを射出圧を加えて

      押込み、成形するための型。多くが金属製である。

   プレス加工:プレス機に特定の金型をセットして、これに板状の金属材
         料を挿入し、人力、電力、液圧等を用いて強圧し、金型に
         よる所定の形状の成形品を得る加工方法。

  

 

 

創業の背景・・・

 

 

 

 昭和47年(1972年)、先代の故沢畠勝彦社長が日立市久慈町でプレス板金加工を目的に個人創業しました。先代の生家は、もともと漁業を生業としていましたが、漁業の不振から、先代は金型製作会社に勤務し、後に独立をされたそうです。
 このため、昭和30年代からの自動車産業、電気産業等の急成長に伴い発展した他社に比べると当社は後発であり、収益が安定するまでの間は辛苦を重ねられたとのことです。平成2年に有限会社日港製作所を設立し、平成17年には株式会社日港製作所に組織変更をしました。当社の社名は、「日立港」から取られたそうです。
 当社の主要取引先は日立アプライアンス株式会社で、白物家電や電磁調理器用の部品加工を行っています。その他にも、自動車部品や電子部品のプレス加工を行っています。
 平成16年11月、日立市久慈町から現在の日立南工業団地内に工場を移転しました。工場移転を決断した理由は、1つ目が久慈町の工場では金型設計製作とプレス加工を別々の場所で行っていたため、金型設計製作部門とプレス加工部門の連携が不十分であったことです。品質の良いプレス加工製品をより安く作るために最も重要なことが、良い金型を作ることだそうです。良い金型を作るには、プレス加工で発生した不具合を金型設計部門にフィードバックして金型を改良することがとても大切なことであるそうです。2つ目は、受注の増加に伴い工場が手狭となったことです。工場移転後は、金型設計製作とプレス加工を一箇所で行えることから、作業効率が格段に上がり、小ロット多品種から大量生産にも対応できる体制を整えることができ、業績も順調に伸びたとの事です。

 

 

 

当社の理念(先代の意思を受け継いで)


 

 

 当社では、先代社長が掲げた「品質のない会社に明日はない」というスローガンに基づいて、品質管理には特に気を配り、日々お客様からより高い安心感と、信頼感、そしてご満足を頂くための取り組みを行っています。
 平成19年6月には、品質向上を目指して、ISO取得推進チームを設立し、社員全員が一丸となってISO9001:2000の認証を取得しました(現在ISO9001:2008に更新済)。さらに、KES環境マネジメントシステムの取得にも力を入れており、平成23年7月1日付けで認証を取得できる予定です。これらにより、お客様には当社とより安心した取引をしていただくことができるものと思っています。

 

  ※ISO9001:2008は、品質マネジメントシステムの規格。品質管理を中心とした組織の活動で、顧客満足を達

   成し継続的な改善を意図するもの。
  ※KESは、「環境マネジメントシステム」の規格です。「環境マネジメントシステム」とは、企業等の経営に当たって 

   環境への負荷を管理・低減するための仕組みです。
    環境マネジメントシステムには国際規格ISO14001がありますが、中小企業には人・物・金等経営資源の問題に

   より取得が困難であることから、より分かりやすく取り組みやすい規格として誕生したのがKESです。

 

 

 沢畠弘人社長に今まで一番大変だったことを尋ねたところ、「社長という役職も大変だが、当社が一番伸びる時に、納期に追われたことが一番大変だった」とおっしゃいます。お客様の納期は守らなければならないので、お客様が当社に製品を取りに来るのでは間に合わないことから、新大阪まで出かけて行き駅構内で荷物を渡してトンボ帰りで次の仕事に取り掛かったこともあったそうです。
 また、取引先の要望から夜中に製品を持って行ったり、材料を取りに行ったりとハードな仕事が続いたそうです。「そのような時に支えてくれたのが、先代であり、先代が常に指示を出してくれていたので、迷わず仕事に打ち込めた」とおっしゃいます。

 

 

 年々より高度なニーズとコストダウンを求められている金型業界において、オーダーから設計、量産までお客様の幅広く高度なニーズに素早く対応できることが当社の特徴です。先代がこれまで培った経験とノウハウを最大限に活かし、確かな技術力・開発力をもって、量産性やコストを意識した設計と機械選定、品質管理を行っているところです。
 具体的には、順送内での型内タップでのコストダウン(作業工程を短縮することで、人的作業を削減でき、人材コストを圧縮すること)に繋がっています。

 

   ※順送:順送りで作業を行う方法。
    ※型内タップ:金型のプレス加工過程で同時にタップ(穴
あけ)作

     業も行うこと。

 

 

 

新たな方針と今後の取り組み

 

 

 

 沢畠弘人社長は、「先代が偉大で、自分はまだまだ社長の器ではない」と謙遜されていましたが、専務取締役の沢畠泰明氏と工場長の三人で力を合わせて対応しています。沢畠泰明専務は、他社で7年かけて金型の製作技術を習得し、当社に新しい金型製作技術を取込み、よりスピーディな作業につなげています。従来の金型製作は、技術を持っている限られた人しか携わることができませんでした。このため、不具合が生ずると金型を分解して調整をすることから、修正までの時間ロスが大きかったそうです。
 そのような問題を克服するために、「技術のオープン化をすることで誰でも調整できる金型作りを心がけています」と金型に関するスペシャリストである沢畠泰明専務が答えてくださいました。

 また、社員教育についても力を入れております。お客様の幅広いニーズに応えるため、全ての機械を皆が操作できるようにすることで作業効率と技術力を向上させています。また、最適な設備を構築し、ロスのない高品質な製品作りのノウハウを培っています。

 

 今後においては、異業種と積極的に連携を図っていくことを考えています。左のとおり、株式会社大川金型設計事務所(本社:大分県)と当社が共同提出した新連携事業計画「業界初の世界一軽い金属製ウェーハリングの事業化」が、平成23年6月17日付け九州経済産業局により認定されました(※)。

 

(※)九州経済産業局 平成23年度第1回「新連携事業計画」の認

   定について

  http://www.kyushu.meti.go.jp/press/1106/110617.html

   株式会社大川金型設計事務所はプラスチック成型加工を得意と 

   し、海外生産拠点をインドとフィリピンに展開しています。

 

 ウェーハリングとは、ICチップの製造に使われる半導体でできた薄い円盤(ウェハー)を運ぶ際に使用する用具です。樹脂製リングを2枚のステンレス製リングで挟んだ構造にすることで、総ステンレス製だった従来型リングより62%軽量化でき、運搬費が大幅に削減できるそうです。
 同製品は、内側と外側とで形が異なっているので、薄物で平面をどのように出していくのか、また、絞り上げをしていく技術が一番難しかったとおっしゃっています。この製品が量産化できれば、当社の技術力への評判は、更に高まることでしょう。

 

 さらに、常陽銀行の紹介により、5月19日に厚木市で開催された日産自動車との技術提携型の商談会にも参加し、幅広く当社の技術をアピールし、取引先の拡大に注力しています。

 

 

 

 

おわりに・・・

 

 

 

 「当社のように小さな企業では、社長を含め、従業員は何でもこなさないとならない」という意識を浸透させていかなければなりません。
 また、お客様に対してもコストと時間を考えた提案型の製品加工を、例えば、単発のプレス加工では時間を要すため、多少コストはかかりますが順送り加工とすることで納期短縮が図れるような提案をしながら、お客様のニーズに応える努力をしています。
 先代からの考えを継続するとともに、そこに新しい力を組み込んで更なる効率化を追求する株式会社日港製作所。今後の同社の発展を心よりお祈りいたします。

 

 

 

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