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有限会社こうじや

創業21年、安心・安全・健康な弁当や給食を提供し、食で地域社会に貢献



 有限会社こうじやは、大洗町と水戸市に工場を有し、駅弁・事業所向け日配弁当製造、学校給食、食堂運営と、食に関する事業を幅広く展開しています。
 平成24年3月12日、大洗町の本社を訪問し、鈴木良成社長にお話を伺いました。



ゼロからのスタート



 鈴木社長は、大学卒業後、商社マンを経て郷里の大洗に戻り、平成3年、夫婦2人で「お弁当の万年屋」を創業し、同年3月、当社を設立しました。
 平成5年5月、事業拡大のため工場を現在地へ移転し、新工場には、当時最新鋭の炊飯設備(1時間半ほどで最大約1,400食の炊飯が可能)を導入しました。

 「お客様に炊き立てのおいしいご飯を召し上がっていただくために、短時間で大量に炊飯できる設備をどうしても導入したかった。」

と、鈴木社長は炊飯設備にこだわった理由をおっしゃっています。



 安くて、しかも炊き立てご飯が付いた配達弁当が次第に評判となり、弁当の配達先は、警察署、茨城県庁、茨城県警察本部などの官公庁や事業所向けに増えていきました。工場を移転して3年経過した頃には、炊飯設備がフル稼働するまでに弁当販売数が増えました。

 平成10年8月に水戸市内で那珂川が氾濫したとき、当社は避難した住民に短時間で弁当を作り上げて配達しました。
 また、平成11年9月に㈱ジェー・シー・オー東海事業所で原子力事故が発生した際にも、事故処理などに当たった関係者に弁当を配達しました。

 「『人が困っているとき、食に携わっている者として貢献できることは必ずある。』という信念から行ったことです。」

と、鈴木社長はおっしゃっています。



ユニークな商品開発



 鈴木社長は、次の事業展開として、「地場の食材をふんだんに使って、ほかの弁当屋ではできない特色のある弁当を作り、観光客にアピールできないか。」と考えました。歴史が好きで、所属していた地元の民話研究会の先生からアドバイスを受け、「茨城の民俗シリーズ」第1弾となる「ダイダラボウ(注)のはまぐりめし」を平成12年春に発売しました。


(注) ダイダラボウとは、奈良時代の「常陸国風土記」に登場する巨人で、大櫛という岡に腰掛けて大洗の海からハマグリを掘って食べ、捨てた貝殻が積もって大串貝塚(水戸市塩崎町)になったという民話です。


 はまぐりめしの開発では、冷たくなったときの味や食感、色合いにこだわり、出汁の種類や量を変えて試作を繰り返し、同じ品質の弁当を作り続けるための技術開発にも大変苦労され、約1年がかりで完成しました。
 その後、平成13年に第2弾の「三浜たこめし」、平成14年に第3弾の「磯節弁当」と相次いで新商品を投入しました。


 

 3種類の弁当は、口コミで次第に評判が広がり、平成13年から鹿島臨海鉄道大洗駅で販売を開始し、さらに、大手旅行会社と提携し、観光バス客に弁当を提供するようになりました。


 平成15年4月、茨城県より「うまいもんどころ」(安心で高品質な茨城県産の証)の使用許可を得て、「茨城の四季彩懐石弁当」の販売を開始しました。「茨城の四季彩懐石弁当」は、季節によって中身を変え、お品書きを添えています。



 平成17年5月には、学校法人田中学園(水戸市)と提携し、水戸短期大学附属高校の敷地内に「学校給食センター水戸工場」が完成しました。
 給食には茨城県産の農産物や食材を活用し、同校と水戸葵陵高校の2校合わせて2,000人分の給食を提供しています。



震災の炊き出しボランティアと復興を目指して「一念発起」



 平成23年3月11日、大洗町は4メートル以上の津波に襲われました。高台にあった大洗工場は何とか難を逃れたものの、工場2階の自宅が被災し、鈴木社長一家はその晩、車中で寝泊まりしていました。
 翌日未明、車中で就寝していた鈴木社長は、大洗町役場から3,000人分の食事の提供を突然要請されました。停電と断水のため、大洗町の職員が浄水場から約15トンの水を運び込み、鈴木社長は急遽取り寄せた大型発電機で炊飯器を動かし、トラック2台のライトを照らしながら家族5人が協力し、機械と手作業で3,000個のおにぎりを作り上げました。

 家族とともに避難所に避難していた社員達は、当社が大洗町の避難者に食事の炊き出しをすることを知り、家族を残して大洗工場に駆けつけました。結局、社員全員が工場に集合しました。

 鈴木社長は、

「社員が自発的に工場に来てくれたのはうれしかったですね。『よし、やるぞ!』という気持ちになりました。」

と、おっしゃっています。それから当社は、5日間連続で食事の炊き出しを行いました。

 水道の復旧後、当社は一部の業務を再開しましたが、観光客向けの弁当の予約が大量にキャンセルとなってしまいました。
 震災からの復興を町ぐるみで目指すため、当社・大洗町・大洗町漁業協同組合が連携して地元で採れるホッキ貝を使った3商品(弁当、炊き込みご飯の素、レトルトカレー)を開発し、平成24年3月から「一念発起」のブランド名で販売を開始しました。




おわりに



 鈴木社長は、これまでを振り返って、次のようにおっしゃっています。



 「19年前、銀行と信用保証協会にご支援をいただき、この工場を建てました。いろいろな人にお世話になりました。去年の震災で、炊き立てのご飯をご近所に配ったとき、ご飯だけであんなに喜ばれたことは、生まれて初めて経験したんじゃないかな。その後、お年寄りの方などから感謝のお手紙をたくさんいただきました。うれしいですよ。震災で売上は減りましたが、社員の団結力は高まりました。」

 お客様のニーズに応じて安心・安全・健康な食を提供し、地域社会に貢献する有限会社こうじやのますますのご発展をご祈念申し上げます。




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