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株式会社誠光運輸

IT化の推進と人材教育で食の物流を支え成長

荻谷家光社長

 株式会社誠光運輸
 代表取締役社長  荻谷 家光
 事 業 内 容/ 貨物自動車運送業
          (生鮮、冷凍食品、薬品運送)      
 本社・物流センター/茨城県ひたちなか市
                       山崎141-3                   
 物流センター    /茨城県那珂市向山1269-2
     さいたま営業所 /埼玉県春日部市
    船橋営業所   /千葉県船橋市
    郡山営業所   /福島県郡山市
    仙台営業所   /宮城県仙台市
 創  業(設立)   / 昭和53年1月

 

 環境に配慮した設備と徹底した温度、品質管理を推進

ひたちなか市の物流センター

 

 普段スーパー等で食料品を買い求めている私たちですが、商品がどのようなルートを辿って来ているのか意外に認識していないものです。製造業者と販売業者をつなぐ物流部門は、経済活動になくてはならない分野で、まさに中核を担っているといっても過言ではないでしょう。
 この物流業界で、セブン&ホールディングス(イトーヨーカ堂、ヨークベニマル等)に納品される商品の扱いをメインとした冷凍・冷蔵物の食料品の運送を営み成長を続けているのが、株式会社誠光運輸です。同社はひたちなか市山崎工業団地の本社・物流センター、那珂市向山にも物流センターを配置、その他埼玉県春日部市をはじめ他県に4営業所を構え、売上高は21億円を超えるまでに至っております。
 「食の重要性を認識し、環境に配慮した設備と徹底した温度、品質管理に注力し取引先からの信頼に応えてきた賜物」と荻谷家光社長は言います。
 30年近くの業歴を誇り、年々着実に業績を伸ばしている同社ですが、その道のりは決して平坦なものではありませんでした。

 

 手を抜かず最大限の努力の積み重ねを それが信頼につながっていく

 

 「元々は運送部門を営むつもりはなかった。」と語る荻谷社長。最初は大洗町等で水産関係の会社に従事、水産物の加工・提供に10数年携わります。独立心旺盛の社長でしたが、当時は水産会社を起こす力がありませんでした。そこで、水産物類の運送を一台で始めます。まさにこの業界に携わるきっかけでした。
 その後、会社勤務時のつながりもあって、イトーヨーカ堂との取引を主に水産物加工品の運送を行っていくことになります。しかし、営業開始からしばらくは資金力が乏しく車輌や人員を確保できず、何から何まで全て社長自ら行わなければならず厳しい状態が続いたそうです。

 

 「非常に厳しい時期が続きましたが、誰にも負けたくないという気持ちが唯一の支えでした。与えられた仕事は手を抜かないで最大限にやるということを徹底しました。運送という仕事は、いかに取引先の欲しい時間に物の品質を落とさずきちんと配送できるかです。これを一つ一つ手を抜かずベストを尽くせば、相手、周りが評価してくれる。その積み重ねが信頼に結びつくと考え、無我夢中で仕事に邁進して来ました。」このような姿勢が実り、イトーヨーカ堂に配送していた実績が評価され、同系列のヨークベニマルから新たな受注を確保するなど、徐々に業績が拡大していくようになります。
 そして、平成4年に那珂市に、平成14年にはひたちなか市山崎に物流センターを開設し、前後して他県にも営業所を次々と構え、関東から東北地方を主に物流拠点のネットワークを築き、取引先へのニーズに対応できる体制を整えていきました。

 

 

 取引先の信頼、それは徹底したIT管理そして社員教育から

配送先別に仕分けされた商品 当社の扱う食料品は冷凍物より冷蔵物の比重が圧倒的に多く、食料品メーカーから納品された商品は、当社で数時間の内に仕分けされ、即日スーパーや量販店等に配送されていくことになります。それを1日に3回の頻度で配送を行うのです。これを同社では全てコンピュータで管理、商品の種類別に当日の発注がどれだけあり、うち入荷待・済や仕分け待・済がどれだけあるのか瞬時にわかるようなシステムになっています。それも、品目に応じて、数時間であっても3つの温度(8℃、0℃、△25℃)の倉庫に分けて管理することにより、品質を保っています。そして、これを配送先別にナンバリングされた車輌口に商品を積み込んでいくのです。
 また、同社のシステムは、常にどの車輌が現在何を積んでどこにいるのか把握し、さらにドライバーの運転レベルを採点できるようになっています。つまり、スピード違反や急ブレーキ、そして無駄なエンジン回転数は起こしていないか、また配送に要した時間等も管理しているのです。私たち取材班がこのシステムに驚きをみせると荻谷社長にこう切り返されました。
「車輌や運転レベルのシステム管理は、この業界では当たり前ですよ。しかし、これをいかに活かして人材教育を行うかが大事だと思っています。つまり、安全で確実な輸送やコストに対する認識を持ってもらうためにも、単にデータを取るだけでなく、各ドライバーに徹底したフィードバックを行っているのです。」

 また、社員に指示するときは、本気で気持ちを込めて行うよう心掛けているそうです。「社長の熱意が伝わらなければ、社員だって本気にならない。」と荻谷社長。なお、社員数が170人を有する同社ですが、そのほとんどが正社員だそうです。「中途半端な気持ちで働いてもらっては困ります。皆と一緒に汗を流して考えてよりよい会社としていきたいと考えています。その意識付けのために原則正社員として雇用しているんです。」
 このようにITを駆使した物流システムと人材教育が、同社の信頼を支えていることはまちがいありません。入荷・仕分け状況等をシステムで管理車両口に商品を積み込む社員

 

 

 

 

 

 

 

 

 既成概念を抜け出し、新たな分野にチャレンジ

株式会社誠光運輸 本社事務所配送先に向かう車両 順調に収益を伸ばしてきている同社ですが、運送業界は競争激化、原油の高騰等により、厳しさを増しているのも事実です。こうした中で同社は、食料品の運送だけでなく新たな分野である薬品関係の運送も試験的に開始しました。
 「社会経済環境が日々変化する中で、過去の成功体験に頼っていては勝ち残れません。運送業界も、競争が激化する中でコスト高、環境問題、品質管理等さまざまな課題に対応し、常に新たな発想で取り組まなければならないと考えています。弊社としても既成概念にとらわれず新たな薬品関係の分野に取り組むことにしたんです。」
 "扱う商品が随分違いますね"との我々の問いかけに、「ですから新しい発想なんです!それに食料品も薬品も人間にとって必要不可欠なものでしょう。特にこれからは高齢化社会です。需要はまちがいなくあるんです。」と荻谷社長。
 もちろん、扱う品物が異なれば取引先や運送ルート・手段も変わり、社員の教育も必要になってきます。しかし、これを苦と思わず社員とともに汗を流し、総合力で乗り切って行きたいと語る荻谷社長。厳しさを覗かせながらも、熱意、バイタリティを感じさせる社長さんであり、このお人柄が社員にモチベーションを抱かせていると痛感いたしました。同社は、まさに荻谷社長の強力なリーダーシップのもと、新たなステージへチャレンジを開始したのです。

 

 なお、同社は今年の8月に当協会の私募債をご利用になられました。この私募債は一定の規模、財務内容をクリアすることが要件となり、この基準を満たしたことは優良企業の証でもあります。
 旺盛なチャレンジ精神で県内運送業界をリードする同社ですが、ますますのご活躍をご期待申し上げたいと思います。


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