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常陸化工株式会社

「猫砂」と言えば常陸化工! ~柔軟な商品開発力が支える確かな存在感~

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 あなたにとっての「癒し」とは何ですか?
 この質問にペットの名前を挙げる方は非常に多いのではないでしょうか。近年は少子高齢化の影響もあり、従来の家畜や番犬などといった位置付けから、ペットを"家族の一人"、"パートナー"と考える人も増えてきているようです。私の家でも犬と猫を1匹ずつ飼っており、私などよりずっと優遇されています。確かにストレスの多い現代では、人間と一緒にいるよりも、言葉の通じない猫や犬などと生活している方が、気が楽なのかもしれませんね。(そういえばうちの祖母は最近猫としか話しません…。)

 「ペットにも人間と同等の生活を」、という飼い主の意識の変化を受けて、ここ数年ペット関連市場は徐々にその規模を拡大しており、数少ない成長産業のひとつとされています。しかし、「成長分野は混雑分野」と言われるように、同市場には大手企業が次々と参入しており、熾烈な競争が繰り広げられているのも事実です。
 今回は、猫砂やペット用消臭剤などのペット関連商品を中心に製造し、大手企業との競争にも負けず成長を続けている企業、常陸化工株式会社をご紹介します!

 

【猫砂】
猫用のトイレ容器の底に敷く砂のこと。猫の尿を吸着して固まるため、捨てやすく清潔さを保つことができる。「砂」と言っても木材や紙
など様々な材質の製品があり、これらに脱臭材や抗菌剤などを加えたものが市販されている。

 

 

大手企業中心の市場において、安定したシェアを確保

 

 

商品一覧

 

 常陸化工株式会社は、常陸太田市新宿町に本社工場を置き、仙台・名古屋・神戸・四国・中国北京に工場や営業所を有しています。事業内容は、猫砂や消臭剤などペット用品の製造を中心としていますが、その他にも左記の通り非常に多くの分野で事業を行っています。

 猫砂などペット関連商品にも、誰もが知っているような大手企業が参入していますが、それらは、下請けの中小企業が大手企業とのOEM契約に基づき商品を供給している、という構図が一般的です。ところが、同社の場合、一部はPB商品としてホームセンター向けに供給していますが、ほとんどの商品をNBとして販売しています。そして、猫砂に限って言えば市場全体の約10%のシェアを確保しています。大手企業との競合が激しいなかにおいて、同社の製品が選ばれ続けている理由はどこにあるのでしょうか。

 

【プライベートブランド(PB)】
小売業者や卸売業者などの流通業者が独自に製品を生産し、名前やマークをつけて所有・管理するブランドのことを指す。略称PB。単価が安く購買頻度の高いもので、ナショナルブランドに劣らない機能を持つ製品が多い。ただし流通業者が自ら生産することは稀で、通常は製造業者へ委託して生産される。

 

【ナショナルブランド(NB)】
生産者がナショナルマーケット(全国市場)への販売を想定してつける製品の名前やマークのこと。略称NB。

 

 

 

 造粒技術を生かして新しい事業にチャレンジ

 

 

 同社は井坂公俊社長の父(井坂忠男会長)により設立され、業歴は約50年になります。設立当時はタルクと呼ばれる鉱物を採石・粉砕したり、造粒加工を行っていました。つくられた製品は主に農薬用の基材などに使用されたり、その他工業用・建材用などの用途に使われるものでした。農薬用の基材を製造していた会社がどうして猫の砂?と思われると思いますが、それには以下のような理由があったのです。

 


「創業から1980年代の後半までは、農業用基材の製造を中心に事業を行ってきましたが、減反政策の浸透などにより農業自体が衰退し始めており、世間はバブルで景気が良かったのですが、弊社の業績は下降ぎみでした。そこで、何か生き残る途はないかと社内で検討したところ目にとまったのが、猫のトイレ用の砂でした。猫砂の原料は、それまでも利用していたベンナイトという鉱物が使われていました。また、鉱物の粉砕、造粒といった猫砂を製造するために必要な技術も、それまでに培った技術が応用できると考えたからです。」

 

 そして研究に取り組み開発されたのが、1988年に販売を開始した「キャットサンド かたまりっこ」という自社ブランドの製品です。異業種からの参入であり、販路の開拓などのハードルはありましたが、既存の他社製品よりも吸水力・脱臭力の面で優れていたこと、また、当時はまだペット関連商品の市場規模が小さく競合が今のように激しくなかったことなどから、地道な営業努力の結果、好景気という追い風もあり、売上は順調に伸びたそうです。

 

 

ヒット商品「スーパーウッディー」の誕生

 

 

 その後、同社の猫砂は、1992年に発売した「スーパーウッディー」、「ウッディーキコ」という商品でブレイクします。商品名から想像できるように、この商品は鉱物ではなく、製材所などから出るおがくずを粉砕した木の粉末を原料としています。
 これらの商品が大ヒットしたのには、次のような背景がありました。この商品が開発される数年前から、ゴミとリサイクルに関する話題が世間の注目を集めるようになり、各自治体ではゴミの分別方法について細かなルールが設けられ始めていました。そしてゴミに関する規制強化に伴い、消費者からは猫砂の分別方法、廃棄方法についての問い合わせが多く寄せられるようになったのです。
 同社は、ならば燃やせる原料で猫砂を作ってはどうか、という考えから商品開発に取り組み、目を付けたのがおがくずでした。おがくずを原料とした商品は「燃えるゴミ」として廃棄できる上、従来の鉱物を原料とした砂に比べ、非常に軽いため運搬にかかる手間も抑えることができます。また、おがくずなどを利用しているため環境にも優しいなど、それまでの市場にはない多くのメリットを持った商品でした。この商品の発売後、全国の問屋や小売店から取引依頼があり販売先は全国に拡大しました。


 
 ゴミの分別規制の厳格化という外部環境の変化にすばやく対応し、新しい優れた商品を市場に投入したことが、同社の成長とその後も市場において安定した基盤を築くきっかけとなりました。さらに、同社が安定したシェアを確保している理由には、次のようなこの商品の特性があるようです。

 

「猫砂という商品は、材質や形、重さ、質感などにより消費者である飼い主の方の好みが分かれており、支持をいただくのは大変難しいのです。例えば、軽いものならばいいかというと、そうではありません。散らかりやすくなるため、ある程度の重さが求められます。さらに、飼い主の好み以前に、猫が気に入らないとそもそも使ってもらえないということもあります。しかし、一度気に入っていただくと、ずっと同じ商品を使い続けてもらえる、という特性もあるのです。」

 

 現在、猫砂の原料は大きく分けて、ベンナイトなどの鉱物、木、紙、おからの4種類があります。同社では、あらゆる消費者の好みに対応するため、研究を重ね様々な材料の猫砂を提供しています。

「スーパーウッディー」、「ウッディーキコ」

様々な種類の猫砂を販売

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ジャンルにとらわれず新商品を次々と開発

 

 

「プロの消臭剤」 同社は猫砂を足掛かりに、2000年にはペット用消臭剤を開発し、 「プロの消臭剤」というブランド名で販売を開始しました。この商品はそれまでになかった画期的な技術により、ペットのフンや尿の臭いを除去するのに優れた効果を発揮します。消臭効果の高さを武器に、店頭販売など積極的な販売活動により、他の大手メーカーに比べ、重量当たり約2倍の価格であるにもかかわらず、同製品は発売から2年余りで業界2位のシェアを獲得するにまで売上を伸ばしました。

 井坂社長は商品開発の際には、パッケージのデザインやネーミングも非常に重要だと言います。“プロの消臭剤”、なるほど、効きそうじゃありませんか

 

 同社の力の源泉は、この驚異的な商品開発力にあるといってよいでしょう。
 そして、これらの商品の中でも、現在、特に力を入れている商品が、2004年に販売を開始した、結晶化ミネラル配合土壌改良剤「丹精耕土バイタル」という商品です。この商品は、カルシウムとマグネシウムを主成分としており、この中に野菜に必須の鉄・マンガン・銅・亜鉛などの微量要素を適正な比率で分散させた土壌改良剤です。この商品を使用することで、野菜を大きく育て、食味や甘味、風味も向上させることができるそうです。

 

「現在、農業は変革の時代を迎えています。食料自給率の改善の必要性が叫ばれると同時に、消費者は「安心・安全」なものを求めてます。このような時代に、「丹精耕土バイタル」は、農家の皆さんのより付加価値の高い商品(作物)づくりをお手伝いできるものと確信しています。」

 

 この商品も、まったく他の商品と関連性がないように思われますが、同社が長年培ってきた造粒技術が生きているのです。

 

 

 

 

 

おわりに・・・

 

 

同社では、次の3つの言葉を経営理念として掲げています。

 

1、感動づくり
 (お客様に感動を与える商品・サービスを提供し、社会に貢献する)
2、幸せづくり
 (社員ひとりひとりが生きがいのあるしあわせな人生を送る)
3、人づくり
 (ひとりひとりが社会の役に立ち、より幸せになるために、日々努力する人になる)

 

 井坂社長は、楽しく生きがいの持てる、働く社員が幸せになれるような職場にしたい。同時に社会に役に立つ商品が提供できる会社にしたい、と語っておられました。これだけ多くの消費者に支持される商品を開発するには、消費者の声を開発の現場に届ける社員同士の信頼と連携が必要とされます。また、同社には、社員の柔軟な発想を促し、その意見を取り入れる土壌があるのでしょう。

 

 


 これからも同社は従来の枠に捉われない、思わぬ分野の画期的な商品を世に送り出してくれることでしょう。今後更なる飛躍をご期待申し上げます。

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