茨城県信用保証協会

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株式会社 大一工業所

2つの事業が支える堅実経営 ~実績が物語る信頼の技術~

 

 

 

平成21年10月に完成した工場

 

 

 今回は、鹿嶋市に本社を置いている、株式会社大一工業所をご紹介します。
 同社は、今年(平成21年)10月に新しい本社事務所と工場を建築し移転したばかりの企業です。景気の低迷が続き、企業の設備投資が落ち込むなか、あえて攻めに出た大園社長にお話を伺いました。

 

 

 

同社を支える2つの柱

 

 

 まずはじめに、大きく2つの部門に分かれている㈱大一工業所の事業内容についてご紹介します。

連続鋳造設備

 

 

 ひとつは、品川ファーネス㈱を通して請け負っている、住友金属工業㈱鹿島製鉄所内での設備メンテナンス業務で、具体的には、同製鉄所内において、主に「連続鋳造設備」と呼ばれる、製鉄のための基幹設備の手入れや補修工事を行っています。製鉄のための設備は、24時間通して稼働しているため、㈱大一工業所の社員も3交代制を敷き、昼夜問わず同製鉄所内に駐在していることになります。
製鉄所と聞いただけでも想像できるとおり、かなり高温の中での作業となるため、決して楽な仕事ではないようです。

 

 

 

 もうひとつは、旭硝子㈱から請け負っている、金属製のガラス輸送用パレット(下の写真)の塗装業務です。こちらは自社工場に設置されている大型の設備を使用して行っています。ガラス輸送用パレットとは、ガラスを製造工場から輸送する際に、破損を防止するために使用されているもので、風雨にさらされ塗装がはげて傷んだものを㈱大一工業所が引き取り、再塗装を施し、旭硝子㈱の工場に戻すといった作業です。

 

 

 将来的には、以上2つの事業に加え、さらに第3の柱となる何らかの事業を立ち上げたい、と語っていました。

 

 

堅実に、自分の歩幅で事業に取り組む

 

 

 ㈱大一工業所の歴史は、昭和40年代に大園社長の父が個人事業主として独立し、住友金属工業㈱の工場設備の営繕工事を請け負うことからスタートしました。大園社長は、昭和51年に父から事業を引き継ぎ、昭和53年の法人設立と同時に代表者に就任しました。なお、当初、旭硝子㈱とは孫請けのかたちで取引を開始したそうですが、のちに仕事ぶりが評価され、直接受注を請けるようになったそうです。

 

「私が父から事業を継いだ当時は、今より規模が小さいうえ負債も多く、ここまで成長するとはとても思えませんでした。それもひとえに取引先に恵まれ、よい人々との出会いがあったおかげです。"継続は力なり"と言いますが、コツコツと真面目に事業に取り組んできたことが、皆さんに評価していただけたのだと思います。」

 

 大園社長はこのように述べ、一歩一歩、堅実に事業に取り組んできた成果が今の業績に繋がっていると話していました。さらに、何よりも自社の規模・体力を考慮し、 "自分の歩幅"で進むことを大切にしているそうです。


 

塗装ブース はじめにご紹介したとおり、今年、同社は新しい本社事務所・工場を立ち上げました。その際には、私ども信用保証協会もお手伝いをさせていただいたのですが、工場新築にはいくつもの狙いがあるようです。

 

 以前の工場の周辺が少しずつ宅地化されつつあり、塗装の溶剤による臭いや騒音に対する住民からの苦情が増えつつあったこともその理由のひとつのようですが、そうした消極的な要因よりも、①数キロの距離を置いて分散していた本社事務所と工場を、作業現場のある住金の工場に近い場所に集約し、業務の効率化を図る、②各事業部を集約することで社員同士が顔を合わせる機会を増やし、意思の疎通・連携を円滑にする、といった大園社長の狙いがありました。

 

 

 

「不景気で他の業者が委縮している今だからこそ、企業としての体制をきちんと整えておく必要があると考え工場建築を決断しました。なかには『この不景気の時期に工場を建てるなんて・・・』と訝る方もいますが、私の性格をよく知っている人は理解してくれています。」

 

 このように述べ、今のような時代だからこそ数年後を見越し、攻めに出ることも大切だと話していました。

 

 

取引先から必要とされる企業へ

 

 

 新聞などのメディアでは、企業経営にとっては今後もしばらく厳しい状況が続くとの見通しが報じられています。特に中小企業においては、大手によるコスト削減のしわ寄せにより、受注単価が切り下げられるなど苦戦を強いられている企業が多いなか、同社は着実な成長を続けています。大園社長に今後の業績見通しについて聞いてみました。

 

「大手企業はコア事業に経営資源を集中させるため、周辺業務は他社へ委託する傾向が強まっています。そのため、私どものような企業にとってはお手伝いできる範囲、いわばチャンスが広がっており、おかげさまで弊社は今期も黒字決算を見込んでいます。厳しい時代であることは大手も中小も同じなのではないでしょうか。取引先が困っているときに信頼され、必要とされる存在となることが大切であると考えています。」

 

 取引先あっての事業であり、信頼関係を今後より一層強固なものとするよう努力していきたい、と大園社長は話していました。

 

 

おわりに・・・


 

 

 今回の取材では、大園社長の"自分の歩幅で、一歩一歩"という言葉がとても印象に残りました。このような不透明な時代だからこそ、コツコツと努力を積み上げ、足場を固めていくような堅実な経営姿勢が重要なのではないでしょうか。

 

 新しい事務所には、竣工祝いとして贈られたたくさんの花や花瓶が飾られていました。大園社長の穏やかで気さくなお人柄に触れ、取引先に大切にされる企業となるためには、技術力や価格競争力だけではなく、経営者の人柄がとても大切なのだろうと感じました。

 

 ㈱大一工業所の更なる発展をご祈念申し上げます!

 

 

 

 


 


 

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