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株式会社 共進サービス
ユーザーの視点に立った“真のサービス”を展開する、地域密着型建機レンタル業者
建設用機械は、道路や下水道などの社会資本整備、工場やビルの建築など建設工事に無くてはならないものです。ショベルカーやブルドーザーなどは一般の方も工事現場などでよく見かけるのではないでしょうか。 建設用機械は、以前は建設業者が直接自社で所有することも多かったのですが、保管場所の問題やメンテナンスコスト削減のため、徐々に専門のレンタル業者から必要な期間だけ借りるといったやり方が主流となってきました。「所有から利用へ」ということで、ユーザーが経営のスリム化を進めた結果、徐々に「建機はレンタルするもの」という考え方が浸透してきたといえます。
バブル期に創業、ゴルフ場開発で事業基盤を確立
㈱共進サービスの代表取締役である金本社長は、起業する前、某建機レンタル会社の取締役として約10年間勤務し、昭和62年に独立しました。開業当時は、バブル期にあたり、県内ではゴルフ場の開発が盛んに行われている時代でした。何も持たないゼロからのスタートだったそうですが、当時は建機レンタルに対する需要も旺盛で、同社の業績も順調に伸び、経営基盤を築き上げることができたそうです。
現在、同社は本社のある茨城町大戸を中心に事業を展開しており、従業員数は約20名。ユーザーのニーズにマッチした豊富なレンタル商品を多種多様に取りそろえており、小規模な先も含めれば取引先は数百社に上ります。
厳しい経営環境 ~業界内の変化
建設業界は、国・地方財政の悪化による公共工事の削減や民間企業の投資の抑制により、長期にわたって厳しい経営環境が続いています。茨城県内でも、かつては有力な企業であった建設業者が、倒産に追い込まれる例も見られ、建機レンタル業者もそうした影響から逃れられない立場にあります。
また、この業界では、数年前から次のような"プレイヤーの変化"も起きています。
建機レンタル業者は、資本的な背景や事業規模によって大きく3つに分類することができます。1つ目が同社のように、特定の地域に根ざした事業展開をする「地場レンタル業者」です。2つ目は、日本全国に支社・営業所を置き広いエリアで事業を展開する「広域レンタル業者」 。3つ目が、近年参入してきた「メーカー系レンタル業者」であり、これは大手建機メーカーが自社の製品を投入しレンタルしている業者です。
長期的な建設業界の不況に加え、そうした市場の構成員の変化は、競争の激化、レンタル単価の下落を招きました。資本力の劣るレンタル業者は体力を消耗し、市場からの撤退を余儀なくされたり、もともと「地場レンタル業者」であった企業の中には、大手建機メーカーからの資本を受け入れ、系列化に組み込まれている企業も珍しくありません。
地場レンタル業者として『真のサービス』を
ところが、上記のような厳しい環境の中でも、㈱共進サービスは安定した業績を上げ、現在でも「地場レンタル業者」としての独立性を守り通しています。価格面での競争が難しい状況の中で、同社はどのような工夫をされているのでしょうか。
同社の戦略上、とても重要なレンタル商品に、 「敷き鉄板(注1)」があります。敷き鉄板は、製造ナンバーなどが刻印されていないため管理が煩雑な上、1枚当たり1.6t以上もあり運搬には機動力が必要とされます。また、曲がってしまったものを修復する特殊な技術も求められます。
同社はこの敷き鉄板約5000枚と、曲がりを矯正するための設備も所有しています。この商品が他社との差別化に繋がっており、同時に他の建機の稼働率アップという相乗効果を生み出しているのです。
注1) 敷き鉄板とは、 軟弱地盤等で、仮設道路がわりに地面に敷き並べる鉄板のこと。
また、金本社長によれば、同社は半径20キロ圏内を商圏と捉えているそうです。多くの同業者が、他の地域に営業所を複数展開しているのとは違い、同社はあくまで本社所在地の周辺だけを唯一の商圏としている、文字通り地域密着型企業です。このため、顧客1先1先の要望にきめ細やかに対応することで、信頼を獲得しているようです。
「もっとも大切にしているのは、やはり顧客ニーズに的確に応えることです。お客様がどのような商品を求めているのかを捉え、メンテナンスの行き届いたベストの状態の機械を、欲しい時に正確に届ける、我々の商売はこれに尽きると思います。当然、弊社にお客様が求めている商品がなかった場合でも、同業の他社から調達し、ダブルレンタル(注2)で対応させていただいています。」 注2) ダブルレンタルとは、自社に無い商品を、他のリース業者から借りて再レンタルすること。
「目指しているのはユーザーの視点に立った"真のサービス"」と金本社長は話していましたが、長年にわたる顧客の支持は、同社が積み上げてきた地道な営業活動の成果といえます。そしておそらく、取引先の立場からすれば、同社は経営上無くてはならない大切なパートナーなのでしょう。
おわりに・・・
茨城県はこれまで圏央道・北関東道などの高速道路や茨城空港関連の公共工事があり、他県に比べれば恵まれた状況にありました。金本社長は、それらの事業が一段落し、今後の経営環境は不透明な状況が続く、と見ています。
「ひとつひとつお客様の要望に誠実に応えていく以外に近道なんてありません」
金本社長はこのように述べ、従業員一同、これまで以上に気を引き締めて"真のサービス"の追求に努力していく、と話していました。
なお、同社は今年(2010年)2月に、当協会の特定社債保証制度をご利用いただき、私募債を発行されました。この保証付私募債は、財務内容において一定の基準(適債基準)をクリアした企業が発行できる"優良企業の証"となる商品です。
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