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有限会社こうじや
創業21年、安心・安全・健康な弁当や給食を提供し、食で地域社会に貢献
有限会社こうじやは、大洗町と水戸市に工場を有し、駅弁・事業所向け日配弁当製造、学校給食、食堂運営と、食に関する事業を幅広く展開しています。 ゼロからのスタート 鈴木社長は、大学卒業後、商社マンを経て郷里の大洗に戻り、平成3年、夫婦2人で「お弁当の万年屋」を創業し、同年3月、当社を設立しました。 安くて、しかも炊き立てご飯が付いた配達弁当が次第に評判となり、弁当の配達先は、警察署、茨城県庁、茨城県警察本部などの官公庁や事業所向けに増えていきました。工場を移転して3年経過した頃には、炊飯設備がフル稼働するまでに弁当販売数が増えました。 ユニークな商品開発鈴木社長は、次の事業展開として、「地場の食材をふんだんに使って、ほかの弁当屋ではできない特色のある弁当を作り、観光客にアピールできないか。」と考えました。歴史が好きで、所属していた地元の民話研究会の先生からアドバイスを受け、「茨城の民俗シリーズ」第1弾となる「ダイダラボウ(注)のはまぐりめし」を平成12年春に発売しました。 (注) ダイダラボウとは、奈良時代の「常陸国風土記」に登場する巨人で、大櫛という岡に腰掛けて大洗の海からハマグリを掘って食べ、捨てた貝殻が積もって大串貝塚(水戸市塩崎町)になったという民話です。 はまぐりめしの開発では、冷たくなったときの味や食感、色合いにこだわり、出汁の種類や量を変えて試作を繰り返し、同じ品質の弁当を作り続けるための技術開発にも大変苦労され、約1年がかりで完成しました。 3種類の弁当は、口コミで次第に評判が広がり、平成13年から鹿島臨海鉄道大洗駅で販売を開始し、さらに、大手旅行会社と提携し、観光バス客に弁当を提供するようになりました。 平成15年4月、茨城県より「うまいもんどころ」(安心で高品質な茨城県産の証)の使用許可を得て、「茨城の四季彩懐石弁当」の販売を開始しました。「茨城の四季彩懐石弁当」は、季節によって中身を変え、お品書きを添えています。 平成17年5月には、学校法人田中学園(水戸市)と提携し、水戸短期大学附属高校の敷地内に「学校給食センター水戸工場」が完成しました。 震災の炊き出しボランティアと復興を目指して「一念発起」 平成23年3月11日、大洗町は4メートル以上の津波に襲われました。高台にあった大洗工場は何とか難を逃れたものの、工場2階の自宅が被災し、鈴木社長一家はその晩、車中で寝泊まりしていました。 おわりに鈴木社長は、これまでを振り返って、次のようにおっしゃっています。 「19年前、銀行と信用保証協会にご支援をいただき、この工場を建てました。いろいろな人にお世話になりました。去年の震災で、炊き立てのご飯をご近所に配ったとき、ご飯だけであんなに喜ばれたことは、生まれて初めて経験したんじゃないかな。その後、お年寄りの方などから感謝のお手紙をたくさんいただきました。うれしいですよ。震災で売上は減りましたが、社員の団結力は高まりました。」 |