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株式会社島田製作所

創業73年、卓越したプレス加工技術と価格競争力を武器にタイ進出を目指す



 株式会社島田製作所は常総市と長野県に工場を有し、プレス用金型の設計製造からプレス加工・溶接・組立まで幅広く対応し、主に自動車関連部品を製造しています。
 平成24年6月7日、常総市の本社を訪問し、福永一哉社長にお話を伺いました。



 

 

当社のあゆみ

 

 昭和14年1月、先々代の嶋田四郎氏が東京都品川区にて個人でプレス加工所を創業し、翌年には日立製作所亀戸工場の指定協力工場となり、主に金属プレス品やプラスチック製品用の金型を生産しました。
 昭和20年、戦争の激化とともに現在の常総市に工場を移転し、昭和37年12月、当社を設立しました。  
その後、日立製作所多賀工場(日立市)や佐和工場(ひたちなか市)の指定協力工場となり、業容を拡大していきました。
 昭和61年4月、日立マクセル向けフロッピーディスク(FD)用金属部品の製造を開始しました。
パソコンの普及とともに一時期受注が増加しましたが、FD市場縮小に伴い当社の受注も減少に転じ、後にFD部品製造事業から撤退しました。




 現在、得意のエンジン出力制御バルブのプレスと組立他、ハイブリッド車用モーター部品や電気自動車用電池部品なども製造しています。また、茨城大学との新技術の共同開発や、経済産業省の補助金を活用した新技術の開発に社を挙げて積極的に取り組んでいます。
 福永社長は、
「取引先が今望んでいることに単に応えるだけではなく、取引先がまだ気づいていない潜在的なニーズをいち早く掴み、それを現実化することが重要で、そのためには、常に自分自身が変わり続けていかなければならない。」
と、おっしゃっています。

 

当社のものづくり

 


 円高、日本メーカーの海外進出、海外企業との受注競争など、国内の金属プレス業界を取り巻く環境は厳しさを増す中、福永社長は、当社のものづくりについて、次のようにおっしゃっています。


「従来のプレス加工技術では製造が困難なため切削や鍛造により製造していた製品を、当社の高度な金型設計製造とプレス加工技術力(※)を活かして切削や鍛造より安く量産することができれば、新たなお客様を創造することができます。新しいプレス機械を導入するのではなく、既存のプレス機械を使い、金型を中心にした新たな生産技術でなかったものを作り出す人の力と創意工夫が、当社の成長の源です。」


 金型設計・製造は5年で半人前、10年でやっと一人前といわれる世界です。当社では現在、若者への技術承継に最も力を注いでいます。

 

※ 硬い金属板をプレスのみで複雑な形に成形加工していく際には、その工程で金属にひびが入ったり、しわが生じたりする
  ことがあり、安定した品質で高精度の製品を大量生産するには、高度な金型設計製造・調整技術が要求されます。
  金属は温度により微妙に膨張・収縮する特性があり、様々な素材を含む合金を加工するには、温度管理も要求されます。

タイへの進出

 

 

 当社は、タイに合弁会社を設立し、金属プレス製品製造とプレス加工ロボット販売を計画しています。当社のプレス加工ロボットは、どんなプレス機にも後付け可能で、様々な工程の自動化が可能な機械です。価格は競合他社の3分の1程度です。  
 タイは、東南アジアで自動車産業が成長しており、しかもトヨタ・日産・ホンダなどの日系メーカーが圧倒的なシェアを有しています。タイでは、進出が後発の部品メーカーであっても、高度な技術力と価格競争力を武器に受注を獲得できるチャンスが広がっています。
工場は、2013年早々の完成を予定しています。



おわりに

 

 

 福永社長は、従業員一人ひとりが卓越した技術を有する魅力ある会社づくりを目指しています。 従業員の力を信じ、創意工夫により前に進もうとなさる福永社長の経営姿勢がとても印象的でした。
 株式会社島田製作所の益々のご発展をお祈り申し上げます。




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