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技研プロセス有限会社

高度なシリコン加工により、食品工場の生産性向上に貢献する。



 技研プロセス有限会社は、阿見町に本社工場を有し、食品メーカーの工場で使用される焼型や天板、アルミカップのシリコン加工を主力に事業を展開しています。
 平成24年10月23日、本社を訪問し、宮本豊代表取締役にお話を伺いました。


 


創業のきっかけ



 

 宮本社長は、部品塗装会社に勤務していた経験を生かし、昭和60年1月、工業用部品塗装業を個人で創業しました。
 創業当時は、会社員時代に築いた人脈を頼りに、自動車の内装やホイールキャップ、携帯電話のプラスチックなど、あらゆる工業製品の塗装を手がけていました。
 日夜独学で塗装技術を研究しながら信用を積み重ね、徐々に取引先を拡大し、平成元年9月に法人化しました。

 

 


経営危機と業態転換の決意

 

 

 その後順調に業績を拡大してきた当社に危機が訪れます。世界的な不況により取引先の工場縮小や倒産が相次ぎ、平成13年頃には、売上がピークの4分の1以下に激減してしまいました。
 宮本社長は、工業製品の製造拠点の海外シフトの流れは止まらないと考え、悩みに悩んだ末に、既存の設備を利用しながら、より高い付加価値を生み出せるシリコン加工への業態転換を決意しました。
 シリコンは耐熱性(耐熱温度250℃~300℃)・非粘着性・撥水性・耐薬品性・絶縁性・安全性(食品衛生法適合)を持ち合わせた優れた素材です。その特性を生かし、食品工場で繰り返し使用され汚れた焼成用天板や型枠を洗浄、研磨し、シリコンの吹き付け加工を施す再生ビジネスに参入しました。





 通常、食品の型枠や天板には、焼き焦げや粘着による商品ロスを防ぐため、多くの離型油(パンや菓子などの生地を型から離れやすくするための専用油脂)を使用しています。また、商品を傷つけずに離型するために、多くの人手と手間が必要です。
 そこにシリコン加工を施すことで、食品が型枠や天板から離れやすくなり、離型油の使用量削減による材料費圧縮や風味の向上、作業効率アップによる人件費の削減、不良率の低減など、多くのメリットが得られます。
 

 

 

 

どん底の中で学んだこと

 

 

 

 宮本社長は、東北地方を太平洋側から日本海側まで約1か月間車で渡り歩き、各地の製パン業者などに飛び込み営業をかけました。
 しかしながら、全く相手にしてもらえず、悶々とする日々が続きました。
 宮本社長は、その当時を振り返り、
「初めて受注に結びついた時の喜びは生涯忘れません。その時の気持ちを忘れないために、今でも東北地方のお客様には自分でトラックを運転して納品に行っています。」
とおっしゃいます。
 その後、当社の優れた商品力や短納期が食品メーカーの間に口コミで広がり、売上はV字回復を遂げました。




 当社では、食品工場の大幅なコスト削減を可能にするアルミカップやペーパートレイへのシリコン加工などで多数の特許を取得し、新商品の開発に意欲的に取り組んでいます。
 宮本社長は、当社のものづくりについて、次のとおりおっしゃっています。
「『単に商品を売る』のではなく、『お客様が当社の商品を必要とし、積極的に選んで使っていただけるものづくり』を常に心がけています。そのためには、常にお客様が何を必要としているのかを探っていく努力が欠かせません。」

 

 

 

おわりに

 

 

 

 当社の画期的な商品開発の裏には、経営危機からの脱却と、そこから導き出された顧客主義の徹底がありました。
 宮本社長は、

「会社は順調な時ほど社内の慢心を生み、むしろ危ないのです。絶え間ない危機意識が商品開発の原動力です。」

とおっしゃっています。
 画期的な商品開発力を武器に食品業界の生産性向上に貢献される技研プロセス有限会社のますますのご発展をお祈り申し上げます。

 

 


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