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株式会社オーサト

創業86年、安全でおいしい納豆を低価格でご提供することを守り続ける。



  株式会社オーサトは茨城県取手市に本社・工場を有し、食品スーパーや大手外食チェーン向けに納豆を製造販売しています。
 平成25年6月26日、本社を訪問し、大里孝仁代表取締役にお話を伺いました。



創業後のあゆみ


 

 昭和2年、大里社長の御祖父様が、手作り藁納豆の行商を現在のつくば市で始めました。
 昭和12年、取手市内に工場を移転、昭和38年に法人化しました。昭和49年、事業拡大のため取手市下高井に工場を移転しました。
 大里孝仁社長は、大学卒業後、自動車ディーラー勤務を経て家業に従事し、その後平成15年に3代目社長に就任しました。

 

 

厳しい競争を勝ち抜くための戦略的商品開発 


 

 納豆業界では、食べやすさが人気の小粒納豆が最も多く生産されていますが、小粒納豆はスーパーの特売の目玉商品となるなど、低価格競争も熾烈です。そのような中、同社では、同業者の生産がそれほど多くない中粒納豆を主力商品としています。

 

 「納豆業界では、なぜか中粒納豆を扱う同業者はほとんどいませんでした。中粒納豆の良さは、小粒納豆の食べやすさと大粒納豆の食感を兼ね備えていることです。また、中粒は大豆の中で最も流通量が多いため、仕入価格を抑えることができます。品質やおいしさを高めつつ、結果的にコストを削減することができました。さらに、大手小粒納豆メーカーとの過度な競争も回避することができました。」

 

と大里社長は振り返ります。


  また、同社の自信作である大粒納豆「雪誉」は、北海道産の大豆「ユキホマレ」を使用し、ほど良い歯ごたえとモチモチした食感が特長で、大豆の味が生きています。全国納豆鑑評会(注)の大粒・中粒部門で、2年連続「納親会会長賞」を受賞した逸品です。
 同社では、自慢の「雪誉」を毎日消費者に食べて欲しいとの思いから、商品を3パックで1つとし、手頃な値段で提供しています。
それは大粒納豆のおいしさを多くのお客様に味わっていただきたいとの思いから実現した価格であります。

 

(注)全国納豆鑑評会(全国納豆協同組合連合会主催)は、納豆の製造技術改善と
   品質の向上を目的とした審査会で、 毎年開催されています。

 

 

息づく改善の精神


 

【納豆の生産工程】
①選別・洗浄・浸漬
不良大豆や異物を取り除いた大豆を洗浄機で揉み洗いし、一晩水に浸す。

 

②蒸煮・納豆菌接種
蒸気で圧力をかけながら蒸し上げ、大豆全体に納豆菌を均一に付着させる。


③充てん
大豆を自動盛り込み機でパックに詰め、同時にタレ・からしも自動供給機で投入する。

 

④発酵・熟成
コンピュータ管理の発酵室で煮豆を発酵させ、その後冷蔵庫で熟成させる。

 

⑤包装・箱詰
できあがった納豆に高速自動でラベルをかけ箱詰めする。



 大里社長は「量より質」を何より大切にしています。材料投入から商品出荷まで4日ほどかかりますが、特に、大豆の発酵に必要な温度を保つために「②蒸煮・納豆菌接種」から「③充てん」までのスピードが重要です。時間がかかりすぎると大豆の温度が下がり、発酵不良等の原因となります。
 同社では、「トヨタ生産方式」(注)を採り入れ、品質向上のための工場の改善を常に進めています。改善には機械メーカーに技術者を長期間派遣し、機械メーカーと共同で改善方法を研究しています。

 

(注)トヨタ生産方式とは、生産における無駄を徹底的に改善し,自動化を進めることで生産性を向上させる手法で、トヨタ自動車が考案した生産法です。

 

 地道な改善を進めた結果、納豆製造工程での重要な部分である充てんスピードは、当初1分間に120個だったものを現在では1分間に240個までに向上させているそうです。
それは充てん機1台で従来の機械の2台分の効果を生み、品質の向上だけでなく生産性の向上につながっています。
 大里社長は、

 

「工場の改善の目的は『品質向上』が第一です。品質向上を追求してきた結果、おのずと生産性が高まりました。品質は目に見えないですが、納豆という商品一筋で勝負している以上、品質が一番重要なのです。」

 

とおっしゃいます。

 

終わりに


 

 大里社長からお話を伺う中で、商品開発や生産ラインの改善における目的が『大量生産やコスト削減』ではなく、常に『品質向上』に主眼が置かれていることに驚きました。
 同社では「高品質な商品を作る」という経営方針が全社員に共有されています。それを追求してきた結果、商品力の強化や他社との差別化、生産性の向上につながり、ひいては現在の会社の発展につながっているのだと思いました。
 今後のますますのご発展をお祈り申し上げます。

 

 

 

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