株式会社ニシノ産業は、東茨城郡茨城町に本社、笠間市安居に産業廃棄物中間処理施設を構え、主に住宅の解体や新築・リフォーム工事の際に発生する産業廃棄物の収集運搬と中間処理(産業廃棄物を種別ごとに分類した上で破砕し、リサイクルできるものと焼却処分するもの、埋め立てるものに選別する業務)を行っています。
平成25年9月19日、笠間市にある中間処理施設を訪問し、西野正代表取締役にお話を伺いました。
当社のあゆみ
西野社長は学校卒業後、診療報酬の審査支払業務(保険医療機関などで行われた診療行為が、保険診療ルールに適合しているかどうかを確認する業務)に従事していました。
定年まで同じ職場で働き続けるかどうか悩んでいた30代半ばのころ、医療廃棄物の処理費が高いことを医師から聞いたことがきっかけで廃棄物処理に興味を持ち、思い悩んだ末に退職し、平成5年6月、水戸市酒門町で当社を設立しました。
創業当初は、4tトラック1台と従業員1名で産業廃棄物の収集運搬業を行っていました。その後順調に事業を拡大し、平成15年に東茨城郡茨城町に本社を移転、平成18年5月に笠間市安居に産業廃棄物中間処理施設を新設し、中間処理業に進出しました。
大切にしていること
当社では、平成13年頃、別の場所で中間処理施設の建設を計画したものの、一部の住民の理解が得られず、計画が白紙となりました。
その経験を踏まえ、西野社長は『近隣住民との融和』を何よりも大切にしています。施設建設前には住民に丁寧な説明を行い、施設稼動後は住民を雇用し、地域の祭事にも積極的に参加しています。
さらに、社員には、日頃の挨拶と施設内外の清掃活動の徹底を指導しています。
ガラス張りの経営
当社の中間処理施設は、施設の周りを高い塀ではなくフェンスで囲い、あえて施設内の様子を外から見えるようにしています。また、施設の上からリサイクル工程を安全に見学できる見学塔を設置し、小学校の社会科見学や自治体の視察のほか、住民や同業者などの施設見学も積極的に受け入れています。
西野社長は、施設見学を歓迎する理由について、
「産業廃棄物処理業界全体のイメージアップと、循環型社会形成のための環境教育や啓蒙活動に貢献したいという思いから行っています。また、近隣住民の方には当社の事業についてよく知っていただくとともに、同業者についても適正な廃棄物処理について情報交換を行うことで、業界全体の向上につながります。さらに、社員には常に周りから見られているという意識が芽生え、緊張感を持って仕事に励みます。」
とおっしゃいます。
そのようなオープンな経営姿勢が排出事業者の安心と信頼を生み、ほとんど営業をかけなくても口コミで顧客が増える好循環を生み、今では多くのハウスメーカーと直接取引をしています。
循環型社会の形成に必要なこと
リサイクル率を高め、環境を保全するために必要なことは、分別の徹底です。様々な種別の産業廃棄物が混入していると、大規模な機械装置と多くの人手により選別をしなければなりません。
当社では、各々の種類に分別された産業廃棄物の処理料金を不分別のものよりも安くする料金体系を設定し、排出事業者の分別意識を高めようとしています。このような取り組みは、産業廃棄物処理業界では珍しいそうです。
また、当社のホームページでは、廃棄物のリサイクル率(過去1年間における搬入重量に対する搬出重量の割合)をグラフで公開しています。昨年度のリサイクル率は76.2%だそうです。社内では月ごとにリサイクル率の情報を共有し、社員のやりがいやモチベーション向上につなげています。
おわりに
西野社長は、
「当社は、おかげさまで今年で創業20年となりました。これから創業100年を目指していきたい。」
と力強くおっしゃいます。
当社では更なる再資源化の用途を拡大する事を目的とする為、既存施設の隣地に新施設の建設を2013年度末の完成に向けて作業を進めています。新施設は、廃棄物の破砕・圧縮能力をより高め、廃棄物の運搬過程で生じる温室効果ガス削減にも配慮した最新の施設となる予定です。当社は、創業100年を見据えて着実にあゆみを進めています。
今後のますますのご発展をお祈り申し上げます。