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株式会社 茨城技研
柔軟な発想と人材教育であらゆるニーズへの対応を実現
株式会社 茨城技研 代表取締役社長 堀 二十男 |
確かな技術と発想で、信頼性の高いミクロパーツを提供
自動車、TV、パソコン、デジタルカメラ、携帯電話。これらのものは現在生活する上でなくてはならないものです。これらの元となる電子部品とそのコネクター類を確かな技術力で提供し続けているのが北茨城市に本社・工場をおく株式会社茨城技研です。
同社は単に電子部品等を製造・納品しているだけではなく、その製造の元となるプレス金型の設計・製造から手掛けて、これを外注先にも一部提供、内外で製造した製品の検査も自社で行い取引先へ納品する体制が整っております。そしてこのことは、多品種・少量・大量生産をも可能にしており、あらゆるミクロの世界をプレスする同社の生産技術は、さまざまな分野の顧客から高い評価を得ています。
年商40億円近くの規模に成長している同社ですが、現在に至るまでは決して平坦な道程ではありませんでした。
100%下請け会社から高い技術力で取引先を拡大
堀社長が同社を設立したのは昭和54年8月。現在も主要取引先の一つ「SMK(電子部品製造の上場会社)」茨城工場の下請け会社としての出発でした。
当時のSMK茨城工場は、東京から部品を調達し製造を行っていたため、流通コストの削減が課題となっていました。こうした中で、SMKの関連会社で富山県にてプレス関連業務を営んでいた堀社長が指名され、SMK茨城工場の部品を製造する会社として茨城技研が設立されました。そして、2年後には当時SMK茨城工場に赴任していた石井常務も経営に参画、同社の基礎が作られたのです。
設立当初はSMKからの受注がほぼ100%であった同社でしたが、SMKが経営多角化を進めるにつれて同社とアンマッチ部分が出てくるように・・・。同社としても生き残りのためには取引先を拡大する必要性に迫られたのです。当然、生産設備体制の整備や人材を確保することも必要でしたが、それ以上に乗り越えなくてはならないものがありました。
「新たな取引先といってもSMKと同業者がほとんどでした。ですから他の取引先と契約する際は、SMKに失礼のない対応を心掛けました。これが、当社が成長する上で最初に苦労した点でしょうか。」と語る石井常務。現在も全体の20%程を占める取引先であるSMKとは信頼関係で結ばれています。そしてこの信頼は、取引先への気づかいだけでなく、同社の高い技術力によって築かれていることは言うまでもありません。
逆境を克服し、新たなビジネスチャンスに
同社設立から10年後には、バブル経済が隆盛、大企業の海外移転により国内産業の空洞化が進みました。こうした中でも当社は、これまで蓄積されたノウハウと柔軟な発想で〝なんでも創る〟という姿勢の下で取引先のあらゆるニーズに対応し、順調に業績を拡大していきました。
しかしその矢先でした。平成6年に主要取引先の一つが破産、多額の売掛金の焦げ付きが発生したのです。「当時は経営上これまでにない危機だったと思います。しかし、こうなったのは当社そのものが原因ではない。誇りだけは失ってはならないと社員に言い聞かせて再建に努めました。」
こうした社員一丸となった再建努力により、数年後には同社の資金繰りも改善に向かいました。そして更には、営業努力により前述の破産した取引先の元請からも受注をとることに成功、現在ではその分野の受注が順調に伸びています。
まさに逆境を新たなビジネスチャンスに転換することに成功したのです。
絶えまぬ人材教育が取引先からの信頼を確保
これまでの業績を収めることができた要因は?との問いに「取引先からの信用を得てこれたからです。そのためには、地味ではありますが、社員がそれぞれの担当部署の役割を全うし、取引先との約束を守ることを継続すること。」と石井常務は答えます。
確かに受注に対応するための設備投資は重要です。同社においても金型の設計・製作から納品製品の製造・検査に至るまで一貫した生産システムを保有しています。しかし、これを動かし管理するのは〝人〟なのです。
同社では、社員を定期的に外部の研修機関に3~6ヶ月間参加させ、卒業試験まで受けさせているそうです。会社内には社員の研修卒業証書が所狭しと掲載されています。
また、同社は品質管理部門であるISO9001を平成12年に取得、現在は環境部門のISOについても取得に向け鋭意努力中です。
「ISOの認証取得は、取引先からの信用を得る上で必要条件となっていますが、人材教育を実践する上でも有効な手法となると考えています。」
まさに〝ヒトとモノが一体〟となって〝信用〟を確保していく同社の姿勢が表れています。
柔軟な発想と確かな技術力、そして人材育成で成長してきた同社。数年前には取引先SMKの中国現地工場へ技術指導スタッフを派遣させるなど、グローバルな事業活動を展開しています。
同社の更なる発展をご期待申し上げると共に、保証協会も今後ともお手伝いをさせていただければと思います。