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株式会社 ユーゴー
クリーニング業はサービス業! 目指すはクリーニング界の「ファミリーレストラン」
株式会社 ユーゴー |
顧客の変化にすばやく対応し、バランスよくサービスを提供し成長
衣替えの季節はもちろん、月に何度かは足を運ぶであろうクリーニング店。しかしこの業界は、長引いた不景気や衣類の素材向上等により、平均一世帯当たりのクリーニング支出がピーク時の2万円から最近では1万円を切るまでになり、非常に厳しい状態となっています。そうした市場規模が縮小傾向の業界の中で、顧客満足経営を推進し着実に成長しているのが株式会社ユーゴーです。
県内で知名度の高いクリーニング取次専門店「クリーニング専科」を65店舗、そして店内に最新クリーニング設備を備え3時間仕上げで時間を最大限サービスする店舗「ミックスマックス」を9店舗営業している同社は、現在年商13億円を超し、県外店舗等を営業している関連企業を合わせると24億円まで拡大、北関東では最大クラスのクリーニングチェーンとなっています。
「時代の変化、お客様の変化にすばやく対応し、価格・サービス・立地・店構え全てにバランスがとれた店舗をベストなタイミングで出店してきたことが成長できた要因だと思います。」と沼崎周平社長は語ります。
親子二人三脚で積極的な営業展開が軌道に
同社が設立されたのは昭和51年のことでしたが、昭和59年に現社長の実父沼崎三郎氏が知人から社長を引き継いだ時から成長が始まりました。取次店と一般外交、電話注文による速配サービス、営業エリアを他県まで拡大等、積極的な営業展開により数年後には年商1億円を突破しました。
このように積極経営が軌道に乗りつつある最中、平成5年に現社長の周平氏が大学卒業後、同社に入社します。
「本音をいうとクリーニング屋を継ぐなんて考えてなかったんです。入社した動機は極めて不純で、父親の〝家業を継いでくれるなら故障した車を買い替えてやる〟という言葉に乗せられてしまったんです。特にやりたいことも見つからなかったし・・・。」と現社長は笑いながら当時を振り返ります。
「でも、やるからには一流企業に勤めている人に負けない給料を稼げるようになってやろう。そしてイヤイヤ仕事をするのではなく楽しいクリーニング店を目指そうと考えました。父親も後継者ができたことで、より積極的な店舗展開を行い始めたのです。」
こうして父親の三郎氏が店舗立地計画等の推進、そして周平氏が店舗の企画・管理業務を担う形で親子二人三脚が始まりました。
平成5年には「クリーニング専科」1号店をロードサイドにオープン、その2年後には工場付店舗「ミックスマックス」をオープンさせ、同社は更なる成長に向かうことになります。
顧客の目線に合わせて便利で楽しい店づくり
さて、やみくもに店舗展開を続けたからといって成功するわけではありません。まして、クリーニング業界は規模が縮小傾向にある厳しい業界です。同社の何が顧客を引きつけたのでしょうか。
「ガソリンスタンド、銀行、病院、クリーニング店。この4つの商売の共通点は何だか分かりますか? 答えは〝行かなくて済むなら、行かないで済ませたい店〟なんです。しかし、発想を転換して、〝もしすごく楽しいクリーニング店があったら。用もないのに足を運びたくなるクリーニング店があったら。〟と考えたらどうでしょう。
クリーニング店はサービス業なんです。でも、コンビニやファミレス等と比べたらクリーニング業界のサービスは最低レベルです。つまり、まだまだサービスを向上することができる余地がある。そこに気付いたことが大きなビジネスチャンスとなりました。」と沼崎社長は語ります。
社長自らが買い物をするとき「どうしてこれをここで買う気になったのだろう」と常に消費者感覚で考えます。例えば缶コーヒーを買うときどうして安いスーパーでなくコンビニで定価で買ったのか?・・・。 そんなことを考えていると、いろいろな企画が見えてくるそうです。
同社の企画例を挙げると、〝キッズクラブ〟と称して顧客と一緒に来店する子供にスタンプカードを作り、ポイントに応じてキャラクターグッズをプレゼントしたり、〝旅行券プレゼントキャンペーン〟を実施したり、割引券を添付したチラシ(裏面ではぬりえができる)を定期的に発行する等、様々な企画で顧客の興味を喚起しています。
もちろん、クリーニングそのものについてのサービスも怠りません。工場に入荷した衣類は、1点1点仕上がりから出荷時間までのデータ管理を行い、確実かつスピーディーに作業が進められています。また、新しいドライクリーニング溶剤をとり入れる新技術の導入にも積極的に取り組んでいます。
さらに冒頭にもご紹介したように、3時間仕上げで時間を最大限サービスする店舗も設けるなど、様々な顧客のニーズに応じたシステムを構築しています。
夢は続く、目指すはクリーニング業界の〝ファミリーレストラン〟
顧客の目線で便利で楽しい店舗づくりを行い、2,3年後には年商20億円、グループ全体で30億円を目標としている同社。しかし、まだまだ沼崎社長の夢は続きます。
「これまでクリーニング業で大きくなってきましたが、クリーニングだけにこだわっていくつもりはありません。新しくて面白くてお客さんの求めているビジネスがあれば積極的に手掛けていきたいと思っています。例えば、クリーニング店と共にパンと惣菜等を提供できる路面店なんて面白いと思うんです。洗濯と食事は家事の大きな負担ですが、ここに来ればそれが一気に解消できる、そういうより便利で楽しい場をお客さんに提供できたらと考えています。当社の目標は、お客さんにバランス良いサービスを提供することですから、目指すはクリーニング界の〝ファミリーレストラン〟なんです!」
社長の頭の中は、たくさんのおもちゃのブロックがテーブル上にちらばっている状態です。この様々なアイディアを同社の名前の由来のとおり〝いかに融合させ新しいものに発展させていくか〟非常に楽しみです。
株式会社ユーゴーは、更なるステージアップのために今年5月に当協会の保証付私募債を発行しました。同社のますますの飛躍をご期待申し上げると共に、当協会としても今後とも少しでもお手伝いさせていただければと思います。