茨城県信用保証協会

元気企業

2016年08月

株式会社 つくば資材

代表取締役 石塚 良三
創業 平成5年
事業所 つくば市上ノ室 793-1
(本社・事務所)
事業内容 建築金物の製造・販売、足場のリース
(設置と撤去を含む)
電話番号 029-857-8876

 株式会社つくば資材は、つくば市上ノ室に本社・工場を構え、建設工事業者を取引相手として、建築金物の製造・販売、足場のリース(設置と撤去を含む)を行います。
 平成28年6月8日、つくば市の本社・事務所を訪問し、石塚良三代表取締役にお話を伺いました。

当社のあゆみ

つくば市上ノ室にある本社・事務所

 当社のあゆみは、建築金物の卸販売会社で長年経験を積まれた石塚社長が、平成5年つくば市大角豆にて、建築金物の販売会社を個人創業したことから始まります。地場工務店やハウスメーカーを取引先として業績を伸ばし、平成6年に法人化し、石塚社長が代表取締役に就任します。その後、事業拡大のため、平成8年に本社をつくば市上ノ室に移転し現在に至ります。

経営課題克服から生まれた3つの事業の柱

 当社は、足場リース業40%、建築金物販売業35%、※丸セパレーター製造業25%の割合で事業展開をしており、この3つの事業の柱は経営課題を克服するために生まれました。 ※建築金物の一種で、コンクリートの型枠の組み立てに際し、所定の幅を確保するために施す鋼棒部材です。
 創業当初は建築金物販売業のみを行っていましたが、2、3年経過した後、最初の転機が訪れます。順調だった建築金物の売れ行きが伸び悩んできたのです。バブルの崩壊により、建築不況に陥ったことと、建築金物の価格競争が激化したことが原因です。その打開策として、平成9年に足場リース業への参入を開始します。
 「当時、TXの開通により、つくば周辺に住宅建設需要が増えるだろうという見込みがありました。長年建築業界に携わることで築いた全国の同業者間のネットワークを活用し、足場資材の仕入れを行い、足場の施工技術を一から学びました。」
 
 石塚社長は当時を振り返ります。足場リース業への参入は、建築金物販売部門の売上の立て直しにもつながります。足場の設置で現場に赴く際に、トラックに建築金物も積載して販売する業態にしたところ、多種多様な建築金物を現場まで届けてくれるサービスの良さが取引先から評価され、足場リース部門と建築金物販売部門が相乗効果を生むようになったのです。
 平成23年には、建築金物販売部門の収益改善に乗り出します。建築金物の仕入販売に加え、丸セパレーターの自社製造販売を開始したのです。それまでは、仕入販売を行っていましたが、内製に切り替えることで利幅を拡大することに成功したのです。注文を受けたら翌日には現場に届けるスピードと、細かな寸法の注文に対応できるフットワークの軽さが評価され、現在では1日約3トンの丸セパレーターを製造し、県内で高いシェアを誇るまでに飛躍しました。丸セパレーターの分野で高いシェアを確保することは、その他の金物を販売するきっかけづくりにもつながり、ここでも相乗効果をもたらしているのです。
  • サイズが異なる丸セパレーターの在庫

  • 丸セパレーターの製造加工

丁寧なあいさつと仕事から広がる信頼の輪

足場の建設風景

 足場リース業を始めた際は、営業基盤が全く無い状況で、顧客を確保することが難しかったそうです。そこで、石塚社長は現場の作業員に、丁寧なあいさつと仕事を行うように教育しました。
 「作業の開始時と終了時には、必ず近隣住民の方々に『ご迷惑をお掛けします』『ありがとうございました』などとあいさつするように徹底しました。それは自社の名前が出ない下請けの仕事においても一緒です。作業においては仮設だからと手を抜かず、“つくば資材の足場を架ければより安全だ”と言われるような作業をするように指導しています。」
と石塚社長はおっしゃいます。地域に密着して営業を行っている当社にとって、社名と丁寧な仕事ぶりを覚えてもらうことは取引先の開拓においてとても重要なことであり、業界内での良い口コミが取引先を増やすことへとつながっているのです。

人材不足の危機を乗り切った同業者組合

 足場リース業が軌道に乗り始めた後、作業員の不足という課題に直面します。安全面においては常に細心の注意を払っていますが、危険できつい仕事というイメージから、なかなか人手が集まらなかったのです。受注の増加に人手が追いつかず、石塚社長自ら現場で作業をしていた時期もあるそうです。しかし、社員の負担は一向に軽くならず、長時間労働も恒常化していきました。
 そこで、石塚社長は、共通の課題を抱える同業者に声を掛けて組合を作り、海外から技能実習生を招くことを決意しました。
「人材がいないのなら同業者と力を合わせて乗り切ろうとの考えから、組合を立ち上げたのです。嬉しいことに多くの同業者が賛同し、加盟してくれました。」
と社長はおっしゃいます。
 現在、組合には15社が加盟し、人手不足に対応するため、共同で技能実習生の採用を行っています。当社でも8名の外国人が活躍し、足場の組み立てについて学ぶとともに貴重な労働力として当社と建設業界を支えています。
  • 常総市の工場・足場置き場

  • 工場・足場置き場にあるたくさんの足場資材

おわりに

 当社は現在約50名の社員を擁し、取引先は地場工務店、ハウスメーカー、大手ゼネコンなど200社以上にのぼります。
 変化の大きい建築業界において、その時々に必要とされる製品やサービスを提供するために、自社の事業内容を変革していく柔軟な経営姿勢が、会社の安定的な発展を可能としているのだと感じました。
 また、自社の利益だけではなく、建築業界や地域と共に成長していこうとする石塚社長の姿が印象的でした。
 今後のますますの発展をお祈り申し上げます。
  

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