元気企業
2015年12月
株式会社クリエイション・コム
One&Only、感動を伝える複合型エンターテイメント企業を目指して
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代表取締役 宮崎 正木 創業 平成4年 事業所 茨城県笠間市安居3145-13 事業内容 カプセル自販機、アミューズメント機器等の企画・ 卸売・販売及びリース 電話番号 0299-56-4151
株式会社クリエイション・コムは創業以来、未来ある子供たちの夢や楽しさを創造しながら、時代のニーズに応えるクリエイティブな事業を展開している笠間市の企業です。その出発点となったのが、プラスチックカプセルに景品を入れた商品(通称:ガチャガチャ)でした。このカプセル自販機の取り扱い・リース、カプセル中身の販売、卸しの他、封入する景品の企画や開発、販促イベント、売り場作り等と複合的に行っています。
平成27年10月30日、新設された本社を訪問し、宮崎正木代表取締役にお話を伺いました。
当社のあゆみ
当社は元々、石岡市にあった百貨店の広告販促全般を手がける関連会社として、平成4年に設立された会社です。宮崎社長は大学卒業後、この百貨店に就職し、20年余にわたって人事や企画、店舗開発部門に尽力を注いでいましたが、勤務先の企業が経営不振に陥るという重大な局面に立たされます。そこで、平成9年、この関連会社の事業を引き継ぎ、起業することを決心しました。独立後、宮崎社長が取り扱い始めたのが、当時、人気の高まっていたカプセル自販機でした。大阪では5階建ビルを丸ごと使ったカプセル自販機のショップが出現するほどだったそうです。しかし、現実はそう甘くはなく想像以上に厳しかったとおっしゃいます。
「初期は事業がなかなか軌道に乗らず、いくら働いても経営が苦しく、眠れない日々が続きました。そんな精神的に追い込まれていったある日ふと、『稼がなければ借金は消えない、自分がやるしかない』と吹っ切れました。このときが、人生の転機でしたね」
と・・・。決意を新たにした宮崎社長は、これまで以上に懸命に働きつづけ、カプセル自販機の設置ロケーションを順調に増やし、全国各地で販路を広げていきました。現在では、この業界でも有数の事業規模を誇る会社に成長を遂げています。
笠間市の本社と社内の様子
エリア拡大と方針転換
ガチャガチャ自販機
小売を主体に営業し、設置ロケーションの増加とエリア拡大とともに順調に収益を伸ばしていた当社ですが、7年ほど経った頃、売上の急増に伴う在庫リスクや借入の増加、遠隔地での管理コストなどの経営課題が生じてきました。そこで宮崎社長は、全国のカプセル自販機ショップを巡ってマーケティングを重ね、業態の見直しを行いました。小売に加え、卸しや物販、メーカーとしての商品開発も手がけるようにしたのです。
特に商品開発では、取引先のニーズを徹底的にリサーチし、これまで世の中になかった商品を自社で企画開発することで、競合他社との差別化を可能にし、取引の依頼が自然に舞い込んでくるまでになったそうです。また現在、カプセル自販機の売上のうち約55%は、北海道から九州まで5社ある提携企業や60以上ある取引先へ販売していますが、これら全国代理店と連携しあいながら、在庫リスクの低減やコストの削減等を図っています。残りの売上の約45%は直営店や企画した催事での売上ですが、直営を福島県から関東近県の700箇所程度に絞ることで遠隔地での商品管理を不要とし、管理コストの抑制につなげました。
当社が展開するガチャガチャコーナー
キメ細やかな商品管理・迅速な対応システム
このようなカプセル自販機から得る収益は、かつては店舗にとって売場収入のプラスアルファという扱いでしたが、今では店舗売上の一つの柱として予算化されるようになりました。また、美術展等の物販コーナーに、土産品の目玉として設置される機会も増え、品切れや本体の故障といった問題はいっそうあってはならないものとなり、商品管理の重要性がますます高まってきたそうです。在庫の減少を自動的に知らせるシステムもないので、当社では担当者によるキメ細やかな対応を何よりも重要視しています。
700箇所以上のロケーションを少数精鋭で管理、早くから専用の端末機も導入し、効率的に進めてきました。今後はスマートフォンでの管理も可能にしていくなど、さらなる管理レベルの向上を行っていく予定です。
新規マーケットの開拓から商品化へ
当社は、カプセル景品の開発や、自販機を活用した催事の企画、販売機を装飾するゲートのような売り場づくりのプロデュースなど、これまでにない新しい分野を開拓し、マーケットを創りだすことで会社の業績につなげてきました。
カプセルの中味は子供向けのおもちゃの他、鹿島アントラーズなどスポーツチームのファングッズ、美術館・博物館と提携したミニチュアアート等、多種多様です。また、A4サイズクリアファイルやコースターなど、カプセル型以外の景品も商品化しています。
A4クリアファイルの
ガチャガチャ装飾用ポップゲート
はんこ自販機と
コースター自販機鹿島アントラーズ
提灯キーホルダーの
ガチャガチャ
「アントラーズのユニフォーム型キーホルダーなどのファングッズは、それを見た他県のサッカーチーム複数から『うちでも作ってほしい』という声掛けをいただきました。景品の企画で心がけているのは、世の中にない“オンリーワンの商材を創る”ということです」
と宮崎社長から熱き想いが込み上げてきます。
また、社員の中には、商品企画やデザインをやりたくて入社した方もいらっしゃるそうですが、まずは商品管理業務を経験させているそうです。現場を通じて、どういうものを作っていけばよいのか、どんな需要があるのかを理解してもらうことで、企画力の向上へとつなげていけるからです。
企画開発にかかる期間は3か月から1年程度と様々ですが、アントラーズの提灯型キーホルダーに関しては、約8か月で販売に至ったそうです。観光地で昔よく見かけたお土産の提灯から着想を得たもので、日本らしさが受けて外国人にも人気があり、ホテルなどでも販売機を設置しています。
美術展の物販コーナーに設置したガチャガチャ
さらに景品の完成度にもこだわりがあります。東京国立博物館で行われた特別展『中国の王朝の至宝』で展示された美術品のミニチュアは、博物館の学芸員の監修を受けながら、製造を行いました。外形の緻密さはもちろん、土の中で変色した金属の錆の彩色まで忠実に再現し、展示会来場者が思わず欲しくなるような完成度の高い景品に仕上がっています。このように子供だけでなく、大人でも楽しめる新しいマーケットを創り出し、また、販売機や売り場そのものをプロデュースするなど需要の裾野を広げながら、世にない商品を発信し続けているのです。
精密に再現された、特別展『中国王朝の至宝』ミニチュアアート
世代を超えて『感動』を伝える企業経営
新たなマーケットの開拓を続ける一方で、宮崎社長は、当社の原点である子供向けの商品づくりを大切にしていきたいとおっしゃいます。大人向け商品の価格帯とは違って、子供向けの商品は100円~200円程度と自分のお小遣いで買ったりしやすい価格帯が主流です。その上、近年の円安により海外での製造コストも高まり、利益率が少なくなっているのが現状です。それでも、宮崎社長は子供たちへ夢を届ける商品づくりに真心を注いでいます。この想いを強くしたのが、東日本大震災直後のある出来事でした。カプセル自販機コーナーが設置されたひたちなか市の大型電器店が営業を再開するにあたり、様子を見に訪れた際のことです。
「それは開店するやいなや、祖父母に連れられたお子様がカプセル自販機へとまっしぐらに向かっていき、楽しそうにガチャを回している光景でした。千年に1度といわれる未曾有の大震災を体験する中で、子供のストレスは相当のものだったと痛感しました。気晴らしに連れ出して貰ったようでしたが、カプセルの世界は子供たちが初めて触れる射幸心の一つだと思っています。ワクワク、ドキドキしながら、ガチャを回すときに満たされる幸せ感、欲しいモノを手に入れたときの喜びは良き思い出、心の糧となるのではないでしょうか。
我々は、『世代を超えて笑顔をつなぐカプセル』を原点に、楽しいオンリーワンの複合型エンターテイメント企業を目指していきたいですね」
と、夢づくりを語ってくださいました。
おわりに
宮崎社長が目指す企業とは、時代の変化に即応し、One&Onlyを実現しながら、常に新しい感動を皆様へ伝えるクリエイティブカンパニーでありたいということです。
『モノより経験』という言葉がありますが、当社が創り出しているのは、景品が出てくる前の「ワクワクする気持ち」や、景品が当たって「嬉しい」という感動体験なのだと思います。しかし、誰もが欲しいと望むモノや世にないモノを絶えず生み出していくことは、容易なことではなく、企画・開発力が問われる厳しい世界だと感じました。宮崎社長からお話を伺う中で感じたのは、独創的な発想を生む自由闊達な社風や、おもしろいモノを探し続ける遊び心です。
子供から大人まで、ワクワク楽しんで欲しいという宮崎社長の純粋な想いがオリジナリティあふれる商品開発へとつながり、それが取引先や消費者から大きな支持を集め、新たなマーケットの開拓や会社の飛躍をもたらしているのだと思いました。
今後のますますの発展をお祈り申し上げます。
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