茨城県信用保証協会

元気企業

2016年03月

カーレポ株式会社

自動車の新車整備事業、リサイクル事業を通じ、自動車の循環型社会構築に貢献する

代表取締役 赤須 洋一郎
創業 平成3年
事業所 水戸市桜川一丁目8番29号(本社)
事業内容 新車整備業、新車保管管理業、自動車品質検査業、自動車買取業、自動車リサイクル業、輸出貿易業、リサイクルパーツ販売業、自動車回送業、レンタカー業
電話番号 029-300-2525
URL http://www.carepo.jp/

 カーレポ株式会社は水戸市に本社を構え、国内において輸入車の拠点の1つである日立港を中心に、国内市場へ出荷前の新車整備や新車保管管理サービスを展開しています。また、常陸那珂港の背後地にある常陸那珂工業団地に、使用済み自動車のリサイクル工場を有し、年間12,000台の自動車をリサイクル法に基づき再資源化し、国内で再利用できるリサイクルパーツの販売、海外需要に向けた輸出貿易などを通じて、国内外における自動車アフターマーケット市場の発展および循環型社会構築に向けた地球環境保護に貢献している企業です。
 平成28年2月25日、水戸市の本社を訪問し、赤須洋一郎代表取締役社長にお話を伺いました。

創業の経緯

水戸市の本社

 カーレポ株式会社は赤須社長のお父様で現会長の赤須輝一郎氏を中心に平成3年に設立されました。創業当初は、株式会社モーターベイシック日立という会社名でしたが、未来志向とした企業理念をそのままに、平成25年にカーレポ株式会社へ称号変更を行っています。その設立背景は、メルセデス・ベンツ日本株式会社が国内における自動車の輸入拠点として日立を決定した平成3年にさかのぼります。
 当時から現在に至る当社の姿勢は「私たちは自動車整備のプロとしてお客様の為になる仕事をきちんとやる」という基本的姿勢です。お客様からの信用と信頼を少しずつ築いていく中で、新車整備作業や新車保管管理など、業務の幅を広げてきました。
 赤須社長は大学卒業後、港湾会社で通関業務や営業などを経験された後、平成9年に当社に入社され、平成22年にお父様から事業承継し代表取締役社長に就任、現在に至ります。

新車整備に携わる誇り

 輸入自動車の新車整備業務は、輸入された自動車の走行点検・外装点検・内装点検などメーカーから販売店に納める前に行う納車前検査(Pre Delivery Inspection)を行います。
「新車整備業務はメーカーの品質基準に沿った高度な整備技術です。」
 そう力を込める赤須社長の言葉は、誇りに溢れていました。
 日本は世界の中でも卓越し、成熟したマーケットなのだそうです。そして、長年たくさんの整備技術を持った社員がおり、徹底した技術力でお客様のブランド品質を支えていることが最大の魅力だと言えます。

モータープール管理事業

宮の郷事業所

 新車整備を終えた自動車は、モータープールに移されて一時保管され、全国へ輸送されます。モータープールから出荷される前に最後の入念な点検整備を受け、出荷されるまで徹底した品質管理が行われています。当社は県内3箇所でモータープールの管理運営を行い、品質管理にあたっています。
「ここでの仕事は、お客様のブランド品質を保ち、日本市場に対する管理責任を果たすことが大事な使命です。」
と赤須社長はおっしゃいます。
 平成27年12月24日にカーレポ株式会社が開所した宮の郷事業所(常陸太田市)は、9.1ヘクタール、東京ドームおよそ2個分の敷地だそうです。類を見ない大きさにこれからの活躍が大変期待されます。

リサイクル事業による社会貢献

リサイクル部門の事務所

 カーレポのもう一つの事業の柱が、使用済み自動車のリサイクル事業です。常陸那珂工業団地内に1.5ヘクタールのリサイクル工場を有し、年間12,000台の自動車のリサイクルを行っています。リサイクルされる自動車は、自動車買取部門が自動車ディーラー、中古車販売店、リース会社、一般消費者などから買取を行っています。
 参入のきっかけについて赤須社長は、
 「10年ほど前に自動車リサイクル法が施行されたことにより、各メーカーが製造した車両を地球資源に帰すことで、自動車産業に関わる企業として循環型社会構築の一翼を担いたいとの思いから参入しました。」と当時を振り返ります。
 工場に持ち込まれた自動車は、ガソリンやオイルなどを抜いて安全な状態にした上で、エアバッグやフロンガスの処理が行われ、各種パーツや鉄、非鉄、稀少金属へ分別され、再資源化が行われます。再利用可能なパーツは状態を確認し、ネット上で販売し、海外への輸出、プレスされた鉄は、製鉄会社へ納められています。
 リサイクル事業において赤須社長は、国内の法令で保安上、または環境問題の理由から再利用が禁止されている部品を適切に処理することなど、「法令遵守」を何よりも重視しているそうです。そこには、自動車産業の健全な発展と再資源化促進という良いサイクルを構築して社会に貢献していきたいとの赤須社長の思いが込められています。
 パーツの輸出販売においては、ロシアやマレーシア、ドバイ、ヨルダン、その他各国の世界中の企業を相手に取引を行っているそうです。
 海外販路について赤須社長は、
「時代は急速に変化しており、取引先との直接交渉以外にインターネットによる企業間国際取引を活用して世界中に販路を開拓しています。」
とおっしゃいます。
その他にも、オークションサイトへの出品や、自社ホームページにパーツの注文フォームを設けるなど、販路を広げ資源のリユースを促進するためにさまざまな企業努力を行っています。

人材の確保と育成について

学生インターンシップの様子

 当社では現在175名の社員が働いていらっしゃるそうです。
 人材確保について赤須社長は、
「会社の知名度で勝負はできませんが、自動車産業全体を縁の下で支えることの社会的責任や、循環型社会の構築に貢献しているという価値観を共有できる人材を確保していきたいと考えています。」
とおっしゃいます。
 ここ数年、近隣の工業高校学生のインターンシップを積極的に受け入れ、リサイクル工場の作業を体験してもらい循環型社会構築がいかに大切か、その社会的意義の高さや仕事のやりがいを感じてもらうなど、場づくり経営を行っています。
 また、赤須社長は経営上でもっとも大切にしていることのひとつに、「それぞれの社員が持つ仕事のやりがい」を挙げられます。
「そのためには、人と積極的に交流し、周りの人を良い意味で自分の仕事に巻き込んで共に働く、という仕事を通じて感じることのできる真の醍醐味を知ることだと思います。」
また、自社の社員には、「どのような仕事に携わっていても、また将来リーダーを目指そうとしている社員に対しても、この会社で私は成長することができたなあという思いを持ってもらいたい。」という気持ちもあるそうです。
 最近では、部門毎の業績やそれぞれのタスクなどを社内間に公開して様々な現状を社員に認識してもらうことや、業務改善提案に対する社内表彰制度の導入、部門ごとに責任者を置いて権限移譲など、幹部社員、候補生に経営者教育を行う努力を始めています。
 そのような試みは、社員が自発的に始めた月1回の事業所の清掃活動や数々の業務改善提案、損益計算書報告など、いろいろな形で実を結びつつあるそうです。

おわりに

 今後の事業展開について赤須社長は、
「自動車産業はどんどん進化をしています。燃料革命による次世代自動車、人工知能を搭載した自動運転技術の発達など、これから起こる進化の中で、"お客様のために何ができるか"という大切な視点を見失わず、技術進化により多様化するニーズに対応しながら社会に貢献できる事業活動を行っていくのが目標です。」
とおっしゃいます。
 今回の取材で印象的だったのは、自社の営業活動を通じてどのような社会貢献を行い、社会的使命を果たしていくのかという観点を重視した、CSR(企業の社会的責任)に根ざした赤須社長の企業経営です。
 それは、社員の法令遵守意識の向上や金銭では得ることのできない"やりがい"を生み、優秀な人材の確保や社員の会社や仕事に対する誇り、会社の業績向上にもつながるということを赤須社長に教えていただきました。
 赤須社長は、
「企業の持続的成長の為には、一人ひとりの能力を見つけ、そして伸ばせる環境を作ることが社長の大事な仕事だと思います。」
 とおっしゃっています。その言葉は、社員に対する愛情に溢れていました。
 今後のますますの事業の発展をお祈り申し上げます。
  

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