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株式会社大林化学

徹底した顧客志向により成長を続ける『地域密着型企業』

大林正則社長

  株式会社 大 林 化 学

 

  代表取締役社長 大林 正則

 

  本  社   茨城県牛久市牛久町2152

  つくば工場  茨城県つくばみらい市福岡2511-1

  東京事務所 東京都中野区江古田1-34-3

  事業内容  ポリエチレン製品製造業

  創  業   昭和45年4月

          (法人設立 平成2年6月)

高い技術力と充実した設備により急成長中

当社製品の一部

 レジ袋から始まりショッピングバックやゴミ袋、新聞を雨から守ってくれるあの透明なフィルムまで、ポリエチレン製の袋やフィルムは今や私たちの生活にとって無くてはならないものとなっています。
 右の写真は同社製品の一部を写したものです。このホームページをご覧になっている方の中にも「あ、この袋見たことある!」という方がいるのではないでしょうか。
 
 同社は平成16年に某取引先からつくばみらい市の工場(つくば工場)を買い取り、高価な6色印刷が可能なインラインという機械をはじめ、インフレーション装置やスリッター機(縦方向幅に連続して切断しながら、同時にその製品を巻取るロール加工機械)を約20台所有しています。高い技術力を背景に260社にものぼる取引先を確保しており、年商は8億円以上にまで成長しました。同社のようにポリエチレン製袋類の製造から加工まで一括して行うには大型の設備を必要とするため、参入障壁が高く、同業者は県内でも10社程度といいます。

 

経営者としての理想は父

ペレットを約200℃で加熱し、ガム状に溶かす

原料のペレット(数ミリの粒状のもの)

 同社は、大林正則社長の父が昭和45年に立ち上げたポリエチレン製造工場が母体となっています。当時は、ある会社の専属下請として比較的簡単なフィルムの加工を1台の機械で行っていたそうです。その後、昭和50年代に入り、インフレーション製造装置を導入するなど積極的な設備投資を行い、製造から加工そして製品にまで仕上げることが可能になると徐々に取引先も増えていき、事業規模も拡大していきました。

 大林社長は今でも父が経営者としての理想像だと言います。「父は職人気質の人でしたが、義理堅く人当たりの良い人間でした。でも、当時、まだ私が学生であったにもかかわらず、ある日いきなり“これからは全てお前に任せる!!”と言い出だしたのには驚きましたね(笑)。しかし、それまでもたびたび事業を手伝っていましたし、何より父の懸命な働きぶりを見て尊敬もしていましたから、それほど抵抗感はありませんでた。」

 

海外製品との競合が激化 ~より付加価値のある製品づくりへ~

インフレーション装置(空気を送り吹き上げて筒状に加工)

 

大林社長が「いきなり」事業を任されたその頃、市場には台湾などの海外製品が増えてきており、価格競争も激しくなってきました。そこで、同社はそれまでのレジ袋やゴミ袋などを中心とした製品から、より付加価値の高いファッションバックなどを中心とした製品へと受注をシフトさせていきます。レジ袋などの規格袋に比べ、ファッションバックなどの製品は視覚的な美しさが求められるため、要求される技術水準も高いそうです。特にパン屋さんなど食品業界で使用される製品は、ゴミなどの混入があれば即取引の停止に繋がることもあるため、衛生面での細心の注意が必要とのことです。

 

 

筒状になったものを巻き取り、底になる部分を熱溶着し袋状に加工。 「最も大切なのは、顧客がその製品を何に、どのような環境で使うのかを良く聞き取ることです。フィルムの厚さ、色の濃淡、その感触にいたるまで顧客の要望は実に様々です。例えば、レジで使用する袋の表面はツルツルとして滑りやすい方が望ましいのですが、米を入れる袋は重ねて置いたときに崩れないように滑らない方がいいんです。原料のペレットの配合は一粒単位まで調整を行います。」と大林社長。
 

 顧客の細かな要望に応えるため、機械などの設備も独自に改造を施し、順次レベルアップを図っているそうです。たとえ私たち素人には全く分からないほどの微妙な違いでも、製品を使用する顧客にとってはクレームの対象となることがあるのです。その微調整には、高い技術力と並々ならぬ品質への執着心が必要とされます。
 この『徹底した顧客志向』に同社が勝ち残ってきた理由がありそうです。


 

厳しい外部環境 ~度重なる原料の値上げ~

リサイクルのためロスとなる部分も巻取り再利用する。

 

順風満帆ともいえる同社ですが、実は原材料価格の高騰という厳しい外部環境にさらされています。

「当社がつくばみらい市の工場を買い取ってから原油・ナフサ価格の高騰を受けて原料は11回値上りしました。さらに、今月(H19/7)に12回目の値上げが予定されており、この度重なる値上げはオイルショック以来のものといえます。ところが原料の値上りを製品価格に直接反映させることは難しく、業界各社ともに対応に苦慮しているところです。」 

 同社としては徹底した経費削減を行うと同時に、他社製品との競合が激しいレジ袋などの比率を下げ、付加価値が高く比較的利益率の高い製品の割合を上げるよう努力しているそうです。

 「結局はお客様にとって魅力的な商品をつくり続け、評価して頂くしかないと思っています。」と大林社長は話します。

 

人のつながりを大切にする地域密着型企業

 

 顧客の視点に立ったものづくりに徹し、日々技術力の向上に努力し続け内外から高い評価を受けている同社。大林社長にその成功の背景にある経営理念について伺ってみました。「建設業界などとは違い、当社が作った製品の多くは形に残っていません。しかし、常に最高の品質のものを作っているというプライドを持って仕事に臨んでおります。それと、先代を見習い、人と人との繋がりを大切にしています。自分だけが良ければいいという考えでは誰も付いてきてはくれませんし、まして事業などはうまくいきません。」

 そのお言葉通り誰にでも好かれ、頼まれたら断れないといったお人柄の大林社長。これまでも地元牛久市の『かっぱ祭り』の実行委員長をはじめとする様々な地域の要職を任され、先頭に立って取り仕切ってきたそうです。「地域の人々あっての当社ですから」と大林社長。

 

 

 徹底した顧客志向と品質へのこだわりによって大きく成長した地域密着型企業の同社。原油高という逆風の中でも、大林社長の強力なリーダーシップのもと、「より付加価値のある製品」を求めて日々技術力の研鑽に取り組んでいます。そのひたむきな姿勢は、今後更なる発展を期待させるのには充分なものです。
 今後ますますの発展をご祈念申し上げるとともに、当協会としても引続き応援させて頂きます。

 


 

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