茨城県信用保証協会

元気企業

バックナンバー

株式会社飛勘水産

妥協しない品質と価格設定で「さかな」と「めし」を提供

 飛田英雄社長(右)、飛田佳英専務(左)

 株式会社飛勘水産
  http://www.tobikan.com/leisure/

   代表取締役 飛田 英雄

   事 業 内 容 / 魚介類販売・飲食店     
   店  舗/茨城県日立市大和田町2173
       (ひたち南ドライブイン)   
   創  業/24年
   (法人設立:昭和49年11月)

 

多くの人で賑わう「おさかな」ドライブイン

 

 日本人の食生活は魚・野菜中心から徐々に肉食中心へ変化し、魚介類の需要は減少傾向にあります。さらに大型商業施設内の鮮魚店との競合から、苦戦を強いられている中小の鮮魚店も少なくありません。
 こうした中で、鮮魚小売を主に連日数多くのお客さんで賑わっているドライブインを経営しているのが、今月ご紹介する「株式会社飛勘水産」です。鮮魚小売店として長年の歴史を誇る同社ですが、約7年前に日立市大和田町に鮮魚小売の他に回転寿司、日本料理店等の飲食店を並べた「ひたち南ドライブイン」を開業、大きく業態を変化させ現在に至っています。この変化に至った背景、そして顧客を確保する工夫はどこにあったのでしょうか。ちょっとだけその内容をご紹介いたします。

 

 

 

小さな鮮魚店から出発し、時代に合わせて業態を変化・拡大

 

 「母が昭和24年に、久慈浜駅(旧日立電鉄)前で久慈浜漁港で水揚げされた鮮魚の小売を行ったのが始まりでした。非常に小規模でしたけれど、物資統制の時代でしたから、土浦方面の魚屋もウチに買い付けに来たんです。」と懐かしそうに語る飛田英雄社長。その後、昭和48年に水戸卸売市場が開設されたのを契機に、同市場から本格的に多種多様の魚介類を仕入れ始め、徐々に業容を拡大していくことになります。
 そして、平成4年に同社に一つの転機が訪れます。それは地元の漁業組合や日立市等が出資して創立された「日立おさかなセンター」への出店でした。久慈浜漁港近くに位置する同センターは、複数の地元卸業者がテナントとして入り、観光客も含めた様々な顧客が集まるスペースでした。さらに2年後に同センターが増床し、飲食店コーナーを設けたときも、同社は先駆者となり「回転寿司」も営み始めました。「おさかなセンターには、観光客を始めいろいろなお客さんがいらっしゃいます。この多種多様の客さんをお相手することにより、品揃えや営業手法について学ぶことができました。」と飛田社長。
 これらの経験を積んで、同社は更なる飛躍を目指すことになります。

 

より自由な発想で多くの顧客を確保するためにドライブインを自ら開設

 

 「同業者がすぐ隣で営業していることや営業時間も午後6時までと制約があったため、あまり自由な営業ができませんでした。それと、この価格競争の時代、もう少し商圏を広げていかなければ生き残れないと思ったんです。」と飛田社長は言います。
恒例のマグロの解体ショー 

 こうした背景から、同社は常磐高速道路のひたち南インターチェンジに程近い敷地にドライブインの開設を計画し、平成13年12月に「ひたち南ドライブイン」を開業させます。このドライブインは、海産物の売り場をメインとして、回転寿司、そば、日本料理店等複数の飲食店で構成されています。
 開業にあたり同社がまず考えたのは、いかにより多くの人々に集ってもらうかでした。飲食店部門の営業時間を最大8時半まで延ばし、また宴会場を設置したりと、長く多くの顧客が集える環境を整えました。加えて、よりたくさんの人々に来店してもうために、400円で食べられるそば・刺身定食のサービス、マグロ解体ショー・セリ売り、ジャンケン大会を定期的に実施する等、様々なイベントを始めました。
 我々取材班がお邪魔したときも、そば・さしみ定食のサービスデーであったこともあり、平日にもかかわらず、長蛇の列が出来ていました。

 

イベント時には平日でも行列ができる

 

 「この競合の厳しい時代に生き残るためには、価格競争に勝っていかなければなりません。つまり、一定の品質を保ったまま、どれだけ安い価格で提供できるかが勝負なのです。そして、利益を出すためには、より多くの方々に来ていただくことが必要なんです。」と後継者の飛田佳英専務は語ります。

 

 

 

 

妥協しない品質と価格設定が信条

 

 同社では、安く顧客に提供するだけでなく、常に新鮮な商品を提供すること(品質)にも重点をおいています。「当ドライブインでは冷凍物はほとんどなく、当日仕入れたものを即日売り切っています。ですから、季節に応じて顧客がどのようなものを求めているのか、どの程度仕入れればいいのかという目利きが必要となるんです。」と佳秀専務。
 十数年の経験を積み、現在では仕入販売部門を一切任されている佳秀専務ですが、顧客の動向をお伺いしてみると、観光客より圧倒的に市内及び近隣市町村の顧客、それもリピーターが多いそうです。これは同社の「妥協しない品質と価格設定」という経営理念が実現している証でしょう。


 

 

 

お客さんに元気になってもらうために

 

 飛田社長のこだわりとしてユニークなものがあります。それは、「水」です。同社の飲食店で提供するご飯は、全て「純水」という一般の水道水の何十倍も浄化されたものを使っています。また純水に酸素の濃度を大幅に加えた「純酸素水」を100円で顧客に提供しています。これは、国内ではあまり浸透していない設備(NASAで使用されている逆浸透方式の浄水器)で作られているもので、非常に体にやさしい水だそうです。

 


 さまざまなこだわりを持ち、顧客獲得に取り組んでいる同社ですが、今回の取材で鮮魚売り場の従業員の元気がいいことにも驚かされました。まるで、市場にいるような錯覚に陥るほど、鮮魚売り場の威勢は良かった・・・。魚もスタッフも、とっても元気いっぱいで新鮮な「ひたち南ドライブイン」。 今後ともますますのご盛況をご期待申し上げます。


▲Top