茨城県信用保証協会

元気企業

バックナンバー

株式会社 水野製菓

甘く懐かしい、昔ながらの味を守り続ける麩菓子専門業者

 

 

 今回は、あの"パシュ"という独特な食感と黒砂糖の甘く香ばしい風味で子供から大人まで愛され続けているお菓子、 「麩菓子」を製造している株式会社水野製菓をご紹介します。
 駄菓子として分類される麩菓子ですが、数ある駄菓子の中でも、これほど長く、そして幅広い年齢層に愛され続けている商品はあまりありません。みなさんも小さい頃、近所の駄菓子屋さんなどで買って食べた記憶があるのではないでしょうか。

※『麩菓子ができるまで』を最後に掲載していますので、ご覧ください!

 

創業当時から麩菓子ひとすじ

 

 株式会社水野製菓は、小美玉市に本社工場を置き、麩菓子製造100%の文字通りの専門業者です。同社の歴史は、昭和34年、水野社長の父が東京都江戸川区小岩で創業したことにはじまります。その後、一時、千葉県松戸市で事業を行っていましたが、平成3年に現在の茨城県小美玉市に移転しました。創業当時から今と変わらない麩菓子をつくっていたというから業歴は50年を超えており、業界においては老舗企業といえます。


 主な取引先は、バリエーション豊かな駄菓子を企画販売していることで知られる㈱やおきんであり、OEM供給が主体となっています。同社の商品は、誰もが知っているコンビニのプライベートブランド用としても販売されており、㈱水野製菓の名を知らない方でもどこかで商品を口にしているかもしれません。

 

 

効率化を図るため茨城に工場を移転

 

 

 

 近年の業績は安定しており、盤石の事業基盤を築いている同社ですが、ここまでの道のりは平坦ではありませんでした。特に深刻な業績不振に陥った時期がバブル期でした。ほとんどの企業が好景気の恩恵を受けていた時代でしたが同社の売上は伸び悩み、水野社長によれば、「一時は廃業まで考えた」そうです。

 

 

 

 業務全般の見直しが必要と考えた同社は、敷地が分散し作業効率が悪かった当時の工場の移転を計画。小美玉市に建設した新工場では、人手のかかる工程に機械を導入することでコスト削減に取り組みました。

 

 なお、同社のすごいところは、稼働している設備のほとんどが、自社オリジナルのものだという点です。

 

「工場の一部に旋盤などの工作機械を置いて作業をしています。麩菓子をつくるための専用の機械なんてどこにもありませんから仕方ないですよ。」

 

 水野社長は事もなげに話していましたが、食品メーカーが自社の機械を内製しているなんてあまり聞いたことがありません。

 

 

取引先との厚い信頼関係

 

 

 長引く不況にもかかわらず、近年同社は安定した売上を確保し続けていますが、「今があるのは良い取引先に恵まれたおかげ。㈱やおきんの社長には、子供の頃からわが子のように接してもらっています。」と水野社長が話すように、堅調な業績の背景には、何よりもメイン取引先との厚い信頼関係があるようです。


 商品開発については、これまでチョコレートをかけた麩菓子などを商品化した時期もありましたが、1年間のうち製造期間が限定されてしまうといったデメリットもあることから、現在は年間通して受注の安定しているスタンダードな黒砂糖をかけた麩菓子のみに絞りこんでいるそうです。

 

 

時代が変わっても愛される懐かしい味

 

 かつて駄菓子は、"近所の駄菓子屋さん"で売られていることが多かったのですが、近年はスーパーやデパートなどに専門のコーナーが設けられているのを見かけます。子供向けのお菓子と思われがちな駄菓子ですが、そうしたコーナーでは大人たちがカゴいっぱいに商品を入れてレジに並んでいる姿を見かけます。幼い頃に1つ2つしか買えなかった分を取り返そうとしているように見えて、何だか微笑ましいような気がしてしまします。いまや駄菓子のメインの顧客層は、子供ではなく大人なのかもしれません。 

 

「駄菓子は子供の頃に食べた経験が無ければ、大人になって食べることはないと言われています。子供の頃に食べた記憶があるから『ああ、懐かしいな』という思いで買ってくれるんだと思います。」

 

 駄菓子は他のお菓子と違い単に味覚に訴えるだけでなく、人の記憶に訴えるちょっと不思議な食べ物なのかもしれません。

 

 

おわりに・・・

 

 

 時代が変わり衛生管理の徹底や品質の向上が求められる現在となっても㈱水野製菓は昔ながらの素朴な味を守り続けています。きっと私たちの子供たちも、私たちと同じように同社の麩菓子を手に取り、「ああ、懐かしいな」と思う日が来ることでしょう。


 今回の取材では、麩菓子の懐かしく優しい甘さと、飾らない水野社長の人柄がとても印象に残りました。株式会社水野製菓のますますの発展をお祈り申し上げます!

 

 

 

▲Top