茨城県信用保証協会

元気企業

2015年03月

金子包装株式会社

段ボール箱だけでない、家具製造やホテル改装まで行う段ボール製品のスペシャリスト

代表取締役 金子 卓司
創業 明治元年
事業所 茨城県古河市丘里8-3(丘里工業団地内)(本社工場)
埼玉県幸手市中3丁目17-24(本店)
事業内容 段ボールケース製造販売、一般包装資材の販売
電話番号 0280-98-1321
URL http://www.kaneko-hk.co.jp

 金子包装株式会社は、茨城県古河市に本社工場を構え、段ボール箱や段ボール製オーダーメイド家具の製造、それを利用した段ボールルームの施工などを手掛ける企業です。
 平成27年1月14日、古河市の本社工場を訪問し、金子卓司代表取締役に話を伺いました。

当社のあゆみ

金子社長で5代目となる当社は、明治元年に埼玉県幸手市で米問屋として創業、その後は梱包用わら縄の製造など時代に応じて新たな事業に取り組みながら、昭和29年に法人化しました。昭和36年には、先代が段ボール箱製造事業を幸手市の旧本社工場で開始、更に受注の拡大に合わせて常総市(旧水海道市)に新工場も開設しました。

平成4年に金子社長が代表取締役に就任してからは、古河市の現本社工場に生産を一本化するなど主軸である段ボール箱製造の効率化を図り、業界内の厳しい競争を切り抜けてきました。

また、金子社長は段ボールの新たな可能性に着目した製品開発を精力的に行っており、段ボール製家具の製造販売や段ボール製の床材を利用したリノベーション(改装)事業など、ユニークな事業により新たな市場を開拓しています。

  • 古河市丘里工業団地の本社工場

『選ばれる段ボール箱』を

当社が主に取り扱っているA式段ボールとは、ミカン箱のような一般的な段ボール箱です。過当競争の激しい分野ですが、当社は近隣の公設市場で使用する青果用段ボール箱を独占的に受注しています。

理由の一つは、「湿気に強い」、「ガムテープやステープル(針)が不要」など、様々な段ボール箱の開発や、製版不要で小ロット・短納期の対応が可能なオンデマンド印刷など、顧客の要望に徹底的に寄り添う経営姿勢にあります。

「製品開発では、お客様の希望に沿えるようじっくり試作を重ねていくため、市場などで実際に採用されるまでに3年ほどかかります。多数の競合相手がいる中で『選ばれる段ボール箱』を製造するためには、取引先との関係を密にし、お客様に満足してもらえるものを作り続けることが重要です。」
と金子社長はおっしゃいます。たとえ時間がかかっても顧客の求める機能・品質を生み出そうとする一途な姿勢が顧客の信頼を生み、ノンステープルの段ボール箱をはじめとした複数の特許の取得と技術力向上につながっています。

    段ボール箱製造ライン

  • 段ボール紙投入

  • 印刷・型抜き後、
    折り曲げ加工

  • チェックを経て

  • 結束

平成14年には、生産の効率化を徹底するため、2ヶ所あった工場を古河市の現本社工場に集約し、材料の投入から印刷・加工・製品積み上げと出荷までの全工程を自動化し、1ラインに絞りました。これにより、在庫保有型の経営から、受注生産型の経営へ転換を図り、在庫コストを大幅に圧縮しました。また、段ボール箱への印刷など、顧客のニーズにも即時対応できるようにしました。現本社工場の立地は、段ボール紙の仕入れ先と隣接しており、材料の輸送コストも圧縮しています。このような取り組みにより、価格競争力を確保し、顧客ニーズの追求も可能としているのです。

「生産効率化により余剰となった人材は、勤務体制を昼夜2交代にしたり、新製品の開発や新事業に配置換えすることで雇用を維持し、会社の新たな成長につなげています。安易なリストラは、経営者としてつつしむべきだと思っています。経営者は、いかに人材を活用して会社の成長につなげるかを考えるべきだと思います。」
と金子社長はおっしゃいます。

段ボール製家具とリノベーション事業

新たな事業として当社が力を入れているのが、段ボール製家具の製造販売と、さらにこれを利用したホテル・旅館等の事業者へのリノベーション(改装)の提案です。

当社の段ボール製家具は、強くて軽い、環境に優しい、安価という段ボール特有の性質にとどまらず、木目調の化粧により、段ボール製とは思えない美しい仕上がりが特徴です。座卓や棚、机、ベッド、ステージ用講演台など様々な注文にオーダーメイドで対応が可能です。

    多種多様な段ボール製家具

  • テーブル

  • TVボード

  • 講演台

  • 衝立

また、段ボールは家具にとどまらず床材などへの利用も可能で、これらをセットした改装を考案しました。まず、金子社長が会長を務められている関連会社運営のビジネスホテル客室に採用し、段ボール製家具を取り入れたほか、床をフルフラットにしてくつろぎやすくするなどの部屋の構造上の工夫や、従業員による優れたサービスが相乗効果を発揮し、稼働率が飛躍的に上がりました。

この経験を当社の経営に生かし、段ボールルームへのリノベーション(改装)事業に進出しました。改装工事は、同規模の一般的な改装工事より40%程度割安、1室から施工可能、工期も最短3日で済むなど様々なメリットがあります。また、優れたサービスの提供のため、ホテルのコンサルティングなどのサービスも合わせて提供しています。

今後、稼働率の低下に悩むホテル・旅館などのほか、ウィークリーマンションやインターネットカフェ、学生寮などへ、営業を拡大していく予定なのだそうです。

  • 段ボール製家具を配置したホテルの部屋

『考える』ことと『任せる』こと

「物を選び、買うということは一種の投票行為です。数ある同業者の中から投票してもらうためには、なにか共感できるポイントがなければなりません。経営者として重要なのは、会社の成長のため、お客様に共感してもらうためには何をすべきか『考える』ことだと思います。父からも、経営者は『一つの事業に固執せず、新たなことに積極的に取り組むように』ということや、『額に汗するのではなく、脳の内側に汗をかくくらい頭を働かせろ』と教わりました。」

若いころはシナリオライターを目指していたという金子社長は、ストーリーをデザインするのと同じように、共感性の高い経営方針や企業としての在り方を考えているとおっしゃいます。

また、人材育成についても、高いモチベーションで働いてもらうため、『信頼し、任せる』ことを心がけているそうです。

「『任せる』からには、従業員が自ら考えて行動し、結果の良し悪しにかかわらず経営者である自分の予想外の事が起きたほうが良いと考えています。そういった新しい発想こそが会社の発展につながるからです。結果として問題が起きたとしても『私は聞いてない』というのは一番の禁句で、信頼して任せた以上、全ての責任を取るのが経営者です。」
と金子社長はおっしゃいます。

おわりに

100年以上の歴史を持つ老舗である当社。時には主力事業そのものを転換するなど社会の変化に対応する柔軟さは、革新的な発想でビジネスチャンスを次々と生み出す金子社長にも受け継がれています。

変化し続ける顧客ニーズに対応して絶えず新しいことに挑戦を続ける姿勢や、従業員一人一人の考えが生かされる自由な風土が、当社の成長の鍵となっているのだと思います。

今後のますますのご発展をお祈り申し上げます。

  

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